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グローバルな環境で身に付けるエグゼクティブの要件:新天地に飛び込み、自分を磨け【上】

グローバルな環境で身に付けるエグゼクティブの要件:新天地に飛び込み、自分を磨け/A.T.カーニー日本代表 梅澤高明氏

A.T. カーニーの梅澤高明日本代表は、経営コンサルティングファームのトップとして、多くの日本企業のエグゼクティブに接する立場にある。一方で、自身も日本でのメーカー勤務から、MBA留学を経て米国で転職、キャリアアップした経験を持つ。また、「クールジャパン戦略」を始め、日本の新たな成長産業育成に関する政府の取り組みも、継続的に支援している。
 梅澤氏に、コンサルタントとしての経験と自身の体験に基づいて、日本のエグゼクティブのあり方について語ってもらった。上、中、下3回に分けて掲載する。

【上】 エグゼクティブの要件とは〜新天地に飛び込み、身につけよ

――梅澤さんが考えるエグゼクティブとはどんなものでしょうか。
梅澤氏 これからのエグゼクティブに必要となる第1の要件は、大局観と、それに基づいて大きな課題を設定する力です。大局観とは、世界の大きな潮流、その中での日本の立ち位置や、業界を取り巻くパラダイムの変化を洞察する力です。もとよりリーダーたるもの、広い視野、高い視座を求められていたはずですが、これからの日本企業ではなおさらです。世界と日本の非連続な変化を見据えて、「自社の今後の生存領域をどう規定するか」「過去の成功体験が通用しない市場で、新たな成長モデルをどう作るか」などの大きな問いを社員に投げかけ、全社の努力を正しい方向に向けることが何よりも重要だからです。
 2番目は、問題解決のスキルです。仮説を立て、問題解決のプランを立案・実行し、結果を検証して次のアクションにつなげていく。従来のリーダーにも、当然求められていたスキルですが、企業が直面するチャレンジが大きくなれば、より高い水準のものが必要となると言えます。
 3番目は、多文化のチームをけん引するリーダーシップです。第1の要件と並んで、日本企業のエグゼクティブにとって改善余地が大きい分野です。日本人であれば当たり前の「暗黙の前提や価値観」を共有しないチームを、一つにして力を発揮させることは、それだけでチャレンジングな仕事です。そのためには、語学力に加えて、ロジカルなコミュニケーション能力が必要条件となります。十分条件は、自分のビジョンを、パッションを持って語れること、言い換えると「リーダーとしての個の魅力」を持つことです。

――そうした能力は、どのようにすれば、身につくものでしょうか。
梅澤氏 自分を鍛える環境で、リーダーを張りながら、自然に高めていくしかありません。
さまざまな文化的なバックグラウンドを持つ人たちのチームで、リーダーの役割を担うことをお勧めします。例えば、海外の成長市場でのプロジェクトに飛び込む、あるいは買収先の海外企業に乗り込んでいく、などがベストですね。

――転職することも選択肢でしょうか。
梅澤氏 学ぶ機会がふんだんにありそうな会社を選べれば、それもありです。実際、良い機会は増えています。日本企業を見渡すと、リーマン・ショックと3・11(東日本大震災)を経て、従来の内需型企業といわれた企業も、グローバル化に本気で取り組まざるを得ないフェーズに来ています。そう考えると、今までの社内の本流のキャリア、今までの昇進の成功パターンは、社会的にみると価値がなくなっているケースが多い。
 どこの業界であっても、これからもっとも必要とされるスキルや素養を身につけられるような環境に自分を置くことが早道です。エグゼクティブ直前の方でも、そういう機会があるのだったら、思い切って飛び込むべきです。そこでの苦労は、経営者になったときに大きな財産になると思います。

梅澤高明氏

――本流のキャリアが意味を持たなくなるのですか。
梅澤氏 「保守本流」はどこの会社にもあります。例えば、電力会社であれば、総務畑や企画畑で、全社の調整役や業界団体・行政との折衝役を務めるタイプのキャリアでしょうか。しかし、このようなキャリアも、外部の労働市場では、さほど高い価値はありません。これからのエネルギー業界で市場価値の高い人材といえば、上流の権益取得を仕切れる人、新興国のインフラ輸出プロジェクトをリードできる人、あるいは、海外の運転・保守の事業会社を買収し経営できる人でしょう。このようなスキルは、世界中のエネルギー企業のどこへ行っても通用する市場性の高いスキルです。
 電力会社の保守本流のキャリアでそんなスキルが身につくか、と言えば残念ながらNoです。どの会社にも保守本流のキャリアパスはありますが、多くの場合、時代や経営環境の要請から既にかい離していることが多いのです。
 銀行であれば、以前は、「MOF担」(大蔵省担当)がエースのキャリアパスでした。生殺与奪の権を持つMOFで人脈を作り、良い心証を持ってもらうこと、他行より半歩先の情報を取ることが、「護送船団」内の競争で差をつける最重要ファクターだった時代のモデルです。監督官庁の裁量行政の余地が少なくなれば、行政との折衝役の果たせる機能も小さくなります。戦略やオペレーションの巧拙、あるいはグローバル展開の成否が会社の運命を決める時代になれば、求められる経営人材の質も、それに合わせて変化するのは必然と言えます。

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