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出典:NIKKEI STYLE 出世ナビ 次世代リーダーの転職学

「運悪く管理職になれなかった人」の転職アピール術

エグゼクティブ専門の転職エージェント 森本千賀子

PIXTA

 ことしこそキャリアをもう一段アップさせたい。そうは思っても、今の会社では、「バブル世代」などが詰まっていてポストが空かず、昇進できる見通しが立たない――。そんなもどかしさを抱えている方もいるのではないだろうか。しかし、これまで管理職経験がなくても、転職によってマネジャーのポジションで迎えられることもある。そのために職務経歴書や面接で何をアピールすればよいかをお伝えしよう。

役職経験がなくても、マネジメント力は証明できる

 35歳以上の方が転職活動に臨むとなると、求人企業からは「マネジメント」を期待されることが多くなります。

 ところが、現在30歳代後半~40歳代の世代には、プレーヤーとして活躍して実績を上げていたとしても、管理職に昇進できていない方々が多くいます。なぜなら、上にはバブル期に大量採用された世代が詰まっていて、ポストに空きがないからです。また、組織体制上、もともと管理職のポストが少ない企業もあります。そうした理由で、管理職の肩書を持つことなく、年齢を重ねてしまったケースは珍しくないでしょう。

 しかし、そうした皆さんも「マネジメント経験」を求める求人へのチャレンジをあきらめる必要はありません。役職に就いていなくても、実質的にはマネジメントの経験を積んでいる方も多いのではないでしょうか。例えば、下記のような経験です。

  • 何らかのプロジェクトを、リーダーの立場で推進した
  • チームメンバーの指導、育成を行った
  • 社内勉強会や社内イベントの幹事を務め、運営や進行を仕切った
  • 多人数が参加する会議のファシリテーターを務めた

 こうした経験をしてきた方は、企画から実行まで、スケジュールを管理し、さまざまな立場の関係者と調整を図ってとりまとめてきたことと思います。これも立派な「マネジメント経験」といえます。それが認められれば、管理職・管理職候補として採用される可能性は十分あります。

 ただし、「こういうことをしました」だけでは、相手企業に伝わりません。

 「どんな目的意識を持っていたか」「どんな工夫をしたか」「どんな成果を上げたか」「それによってどんなノウハウ、スキルを得たか」まで、整理することが大切。それを職務経歴書や面接でアピールしましょう。「役職経験はないものの、マネジメントの素養、実力を備えていそうだ」という評価につながります。

社外活動でのマネジメント経験も評価の対象に

 ビジネス上でのマネジメント経験が乏しい場合でも、プライベートの活動でのマネジメント経験をアピールする手もあります。

趣味のサークルで多様な人たちをまとめた経験もアピールポイントに=PIXTA

 例えば、社外での勉強会やセミナーの幹事。ビジネスの汎用スキルや自己啓発をテーマとした内容であれば、幅広い業種・職種の参加者と交流し、調整や交渉をしているはずです。また、スポーツ、カルチャーなど、趣味のサークルやコミュニティーのリーダーとなれば、さらに幅広い層の参加者をとりまとめることになるでしょう。

 NPOやボランティア活動でのリーダーやコーディネーターであれば、学生や高齢者の参加者とコミュニケーションをとることもあるのではないでしょうか。

 多種多様なバックグラウンドや価値観を持つ人々が集まる場で仕切り役を務めるということは、コミュニケーション力、調整力、交渉力などを包括した「マネジメント力」を発揮していると想像できます。こうした社外活動の経験がプラス評価され、会社での管理職経験がないにもかかわらずマネジメント職として採用された事例をいくつか見てきました。

社外活動でのマネジメント力をアピールする場合、「どのような手法で」「どんな工夫をして」も具体的に伝えられるとなおよいでしょう。

 Aさんの場合は、会社員として働くかたわら、休日には母校である高校でスポーツチームのコーチを務めていらっしゃいました。コーチに就任したときは、そのチームは弱小。「負けグセ」がついていて、部員たちの間には「自分たちには無理」というあきらめムードが漂っていたそうです。

 そこでAさんは、部員一人ひとりと面談し、「自分が自信を持っていることは?」「やりたいポジションは?」「どんな練習が好きか?」など丁寧にヒアリング。それを踏まえて、ポジションを変更したり、メンバーがそれぞれの強みを生かせるような練習メニューを取り入れたりしたのだそうです。その結果、チームは力を付け、モチベーションも上がり、試合に勝てるようになったのだそうです。

 Aさんはこのエピソードを、採用面接で語りました。すると「自社の若手メンバーの育成にも生かせそうな経験」と評価され、マネジャーとして迎えられたのです。

 Aさんの場合は学生のコーチでしたが、社外のスポーツチーム、あるいは趣味のサークルやコミュニティー、NPOなどでのボランティア活動などに参加し、そこでリーダー的な役割を務めていらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。それも採用面接でのアピール材料になり得ますので、ぜひ活用してください。

マネジメント理論を学習しておくのも有効

 マネジメントへの興味や意欲があるなら、その裏付けとして「マネジメント理論」「マネジメント手法」の知識を身に付けておくのも手です。

 ある方は、職務経歴書の自己PR欄に、ピーター・ドラッカーの著書の中から、自分が共感している言葉を引用して記載していました。マネジメントへの意識を高く持ち、「しっかりと勉強されたのだろうな」という印象を持ったことを覚えています。

 また、こうしたマネジメント理論のほか、自分がマネジメントに取り組む上で「ロールモデル」としたい著名経営者を挙げ、その経営者が実践した手法のうち取り入れたいものを伝える手もあります。ただし、志望企業の社長がその経営者を好きではないこともありますので、そこは注意が必要です。

 社長のSNS(交流サイト)の投稿やブログなどを見ていると、どんな理論や考え方に共感しているかがわかることもありますので、それを事前につかみ、くわしく勉強しておいてもいいでしょう。

マネジメント経験は異業界でも応用できる

 これまでお話ししてきたとおり、管理職の肩書を持った経験がなくても、実質的なリーダー経験、マネジメント経験があれば、マネジャーのポジションで採用されるケースはあります。その可能性を高めるためには、「どんな組織であれば、自分の経験やスタイルが生かせるか」を考えましょう。

 一口にマネジメントといっても、組織によってスタイルはさまざまです。

  • 新人や若手中心の組織をマネジメントする
  • 女性が多い組織をマネジメントする
  • 派遣社員、パート、アルバイトが中心の組織をマネジメントする
  • 正社員・契約社員・派遣など、さまざまな雇用形態が混在する組織をマネジメントする

 このように、マネジメント対象となる組織の構成、特徴が近ければ、異業界であってもマネジメントスキルを生かして転職できる可能性があります。

 例えば、生命保険会社で女性営業チームのマネジャーを務めていた方が、女性スタッフが主力のホテル・レストランチェーンに転職を果たしたケースがあります。

 また、小売店の店長として、正社員、派遣社員、パート、アルバイトなどさまざまな雇用形態の人をマネジメントしてきた方が、その経験を買われ、エンターテインメント施設のマネジャーに採用された例もあります。

 塾のFCチェーンで複数拠点のマネジメントを手がけていた方は、「FCオーナー」に対するマネジメントの経験を生かし、家事代行サービス会社のFC拠点長に転職を果たしました。

 現在は、数年前から活発化している「女性活用」に取り組む企業が多いため、女性の多い職場でマネジメントや育成を行った経験がある人は高評価。女性のモチベーションをアップさせる、能力を引き出す、育児と仕事の両立をサポートする、といった経験がある方は、女性活躍を推進している企業に注目してみてはいかがでしょうか。

 また、直近では多くの企業が「働き方改革」を図っていますので、チームの業務効率化や生産性アップを実現させた経験を持つ人は、ぜひそれをアピールすることをお勧めします。

森本千賀子

 morich代表取締役 兼 All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「のぼりつめる男 課長どまりの男」(サンマーク出版)ほか、著書多数。

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