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「老後恐怖症」に押しつぶされない! 10のキャリア術」

ミドル世代専門転職コンサルタント 黒田真行

どの世代でも老後への不安はあるものだ(写真はイメージ=PIXTA)

 年金制度の破綻リスクや老後資金の必要額など、毎日のようにメディアが取り上げる老後の情報を見て、不安が増している方は多いでしょう。実際、自分の老後生活に「不安感あり」と答えた人は85.7%(平成28年度、生命保険文化センター調べ)もいる一方で、老後に向けて準備している20~60歳の社会人は33.8%だそうです(2014年、保険クリニック調べ)。しかし、悩んでいるだけでは損。老後の恐怖と向き合い、乗り越えていくキャリア術をまとめました。

人材不足の裏側で増大する将来不安

 日々、転職相談でお会いしている方々から聞く転職の検討理由には、下記のような「将来に対する不安」をきっかけとするケースがざっと半数ぐらいを占めています。

 「ここ数年、経営状態が悪化し、改善の見込みもなく、この会社にいても将来が不安なので転職を検討し始めました」(42歳・美容製品商社・営業)

 「年収が上がらないどころか、年々、制度改定に伴って減収を余儀なくされていて、退職金が出るのかどうかさえ分からなくなっています」(57歳・百貨店・営業部長)

 リクルートキャリアによると、18年1月の転職求人倍率は1.82倍、21カ月連続で前年同月比を上回ったそうです。しかし、当然ですがすべての企業が好調で人手不足というわけではなく、産業構造の変化や戦略の優劣によって、成長産業や成長企業の裏側には、衰退期に転換してしまった産業や、事業継続に苦戦している企業も多くあります。その中で将来不安を抱え、悩んでいる従業員は少なくないのです。

 また、勤務先企業の業績が伸び悩み始めたために将来不安を感じるという、目前に迫った危機感とは別に、成長企業の中にいても漠然とした不安を抱く方もいます。

 「会社は絶好調で、2年前に入社した当時から従業員数は3倍に増えました。ただ、ベンチャーのスピードに自分がどこまでついていけるか? 自分より若い世代で実力がある人もどんどん入社してくるので、この会社で必要な人間であり続けるのは難しいかもしれません」(42歳・教育系ウェブサービス・マーケティング部長)

「老後不安」に悩みながら生きるのは損

 会社の業績が好調でも不調でも、人それぞれに抱える将来不安。特に30代後半より上の世代が感じている問題を突き詰めていくと、老後の不安に突き当たります。早い人は20歳代から老後のことを考え始め、30歳代、40歳代、50歳代と、仕事や子育て、介護を並行しながら老後の不安に備え続けているという人もいるかもしれません。

 先に触れた生命保険文化センターの意識調査では、自分の老後生活に「不安感あり」と答えた人は全部で85.7%。「非常に不安を感じる」人は22.7%もいます。しかし、保険クリニックの調査では、老後に向けた準備をしている人は、20歳から60歳の社会人全体で見ても3分の1しかおらず、3人に2人は不安を抱えながらも何の準備もしていないという状況だそうです。

生命保険文化センター「生活保障に関する調査」平成28年度から作図

 日々の生活費に加え、住宅ローン、子供の学費、親の介護費用などを捻出しながら、自分たちの老後資金まで手が回らない状況や、あるいはそれらを負担しながら、老後のための預金を積み立てる努力をしている姿が浮かび上がってきます。ちなみに、老後準備をしている方々の具体策のほとんどは、預貯金や株式、生命保険、介護保険、投資信託などの資産対策となっています。

 ぼんやりとした不安を前に、何をどこまでやれば本当に安心できるのかがわからないまま、大半の人々が長い人生を、常に頭の片隅に老後への恐怖を抱えながら過ごすのは大変もったいないと思います。30歳代、40歳代、50歳代と、それぞれの年代で生きている実感を味わい、人生を楽しみながら過ごすために、もやもやとした老後不安とどう向き合うべきか、10のポイントを挙げてみましょう(年金や老後資金など金銭面での対策は、すでにいろいろなところで述べられているのでここでは省きます)。

「老後恐怖症」と闘うための10のポイント

1.自分が働ける残り期間を逆算する

 安定的な収入を得られる期間と、予想できる収入額の概算を計算しておくことをお勧めします。特に45歳以降は、徐々に年収が低下する傾向があるので、予想収入は役職定年などを織り込んだシナリオで試算したほうがよいでしょう。

2.何のために働くのか、目的を定める

 働く時間の使い方は、人生の使い道でもあります。特に40歳以上の方であれば、ただ稼ぐだけではなく、自分なりの価値が発揮できることや、力を尽くす価値があると思えることを選んだほうが、自分の中での覚悟が決まり、迷うことが少なくなるメリットがあります。

3.知人・友人・仕事仲間に宣言する

 「何のために働くか」が決まったら、できるだけ多くの知人にそれを宣言して知ってもらうことをお勧めします。夢や目標と同じで、どのような目的で生きているかという旗を立てておくと、その実現のために情報や紹介が集まりやすくなり、目的実現が加速する可能性が高まります。

4.資格に依存しない

 老後不安にさいなまれると、資格取得に走るケースがあります。働く目的や、自分自身の長期展望に必要なものであれば、ハードルが高くても挑むべきだと思いますが、できるだけ数多く資格を取ったほうが安心するというような乱獲型は、パワーとお金と時間が分散するだけで、安心につながるわけではないので注意が必要です。

5.異業種交流会や人脈づくりに期待しない

 将来への不安を抱いて、何をよりどころにすればよいかわからないときなどに、異業種交流会や勉強会を活用してきっかけをつかめることもあります。しかし、目的や意思がないまま名刺ばかり増えても本当の人脈には育っていきません。人数の問題ではなく、長く関係を築ける信頼関係を大切にしてください。

6.学びのテーマを絞る

 限られた時間で目的が定まると、何を学び、どんなスキルを身につけるべきか、自然に照準が絞られてくるはずです。多様なインプットは人生の刺激になりますが、インプット自体が目的化してしまうような学びは、限られた時間を奪ってしまうリスクがあります。アウトプットのために必要な学びと、刺激を得るための学びを切り分けてみるのも一つの方法かもしれません。

7.ルーティンを変えてみる

 将来不安や老後不安を抱え、手を打ちたいと考えながら、何もしないままに時間ばかり経過していく、というような場合は、日々のルーティンを変えることも一策です。時間の断捨離をして自分自身の日常を変化させると、重要なことに使える時間が生まれることはよくあります。

8.ライフスタイルの激変を想定しておく

 長い人生の中では、年代や環境の変化によって、ライフスタイルも何度か大きく変わるはずです。自分自身の身体能力や家族の年齢構成で、可処分時間や必要な生活コストも節目ごとに大きく変化します。これから先の人生について、必要なコストや環境など、必要最低限の生活イメージを持っておくと、いざというとき、フラットに考えられるモノサシになります。

9.長く働ける仕事について考える

 「人生100年時代」といわれる中、60歳代、70歳代、場合によっては80歳代までも長く続けられる仕事や趣味を検討しておくことをお勧めします。年齢が上がると身体的にもきつくなり、新しく学べることはどんどん減っていきます。今のうちから始められること、始めておきたいことを実行に移してください。

10.健康に留意する

 老後に不安を感じていながら、肝心の老後を迎える前に倒れてしまっては、不安すら空振りになってしまいます。当たり前のようですが、ぜひ老後も質が高く、楽しめる生活が続けられるよう、健康にはくれぐれも留意してください。

 ――いかがでしたでしょうか。実態の見えない「モヤモヤした不安」に悩まされ続けるのは、人生の使い道としてぜひ避けたい時間です。不安の本質や課題を特定し、できることがあれば具体策を実行、防ぎようのないことはすっぱり諦めて、「人生100年時代」に与えられた時間を有意義なものにしていただければと思います。とはいえ、ライフスタイルを大げさに変える必要はなく、できるところから少しずつトライするだけでも、きっと新たな兆しは見つかるはずです。

黒田真行

 ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。14年ルーセントドアーズを設立。著書に本連載を書籍化した「転職に向いている人 転職してはいけない人」(【関連情報】参照)など。
「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/

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