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地方企業で輝くキャリア 成功増えるU・Iターン転職

エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

地方企業の経営幹部の採用事例が増えている(写真はイメージ=PIXTA)

「故郷に帰りたい」あるいは「好きな地方に移り住みたい」と考えていても、「希望する仕事が見つかるかどうか不安」という方は多いようです。しかし私は、大都市圏で優れたキャリアを積んだ方が地方に移住・転職し、地方の優良企業や成長企業で活躍する事例を数多くみています。実際に地方にどんなチャンスがあるかを紹介しましょう。

増加するミドル世代のU・Iターン希望

 年齢を重ねるにつれ、「地方で働く」という選択肢を視野に入れる人が増えるようです。そこには、UターンとIターン、2つのパターンがあります。

 30歳代後半から40歳代にもなると、故郷で暮らす親が気になってきます。親から「体調を崩した」「病気が見つかった」などと聞くと、遠くない将来の「介護」問題を意識するようになります。すぐには要介護状態にならなくても、いざというときに備えてなるべく親の近くに住みたいと思う方も少なくありません。

 「自分が住んでいるところに親を呼び寄せればいい」と考える方も多いのですが、実際には住み慣れた土地を離れることを拒む親が多いのが実情。自分が故郷へUターン転職する道を探ることになります。

 一方、Iターンの場合。「旅行で訪れて気に入った土地に住みたい」とか「自然豊かな環境で、アウトドアの趣味を充実させたい」、あるいは「ゆったりした環境で子どもを育てたい」といった希望から、縁もゆかりもない土地への移住・転職を目指す方もいます。若い頃は刺激が多い都会に魅力を感じても、だんだんと「地方」の良さを感じるようになってくるようです。

 また、「震災ボランティアに参加した際、地方の人々のつながりの温かさに気付いた」「一戸建ての家を持ちたいが、東京では難しい。地方でその夢をかなえたい」といった声も耳に入ってきます。

 Uターン、Iターンのいずれにしても、地方への転職を考える皆さんが不安を抱くのは「求人があるのか」ということです。「妥協すれば何らかの仕事には就けるだろう」とは思っていても、やはり「自分のキャリアを生かしたい」「誇りややりがいが持てる仕事がしたい」という思いは、捨てきれるものではありません。

 では、実際の求人事情はどうなのでしょうか。結論からいえば、地方でもキャリアを生かし、やりがいのある仕事を手にしている方は多くいます。実は、「首都圏勤務」を志望して転職活動をしていた方が、「やりがい」を重視して求人を探した結果、あえて地方の求人案件を選び、縁のない土地に移住・転職したという事例もいくつか見てきました。

 大都市圏と比較すると、地方の求人は対象年齢の条件が柔軟である傾向があります。大都市圏では若手が優先して採用されるようなポジションでも、年齢にかかわらず意欲・熱意重視で、年齢が高い人が採用されるチャンスが多いといえます。

成長企業に「経営幹部」のニーズ

 次に、昨今、地方にはどんな人材ニーズがあり、どんな人が転職を果たしているかを紹介しましょう。

 もともと「地方勤務」の求人が多い職種といえば、メーカーの研究開発、生産技術、生産管理、工場長といったものが代表的。開発・生産拠点が地方にあるケースが多いからです。

 一方、地方の有力企業や成長企業が「経営幹部」を求める求人も多数存在します。経営企画、事業企画、管理部門長、最高財務責任者(CFO)といったポジションです。

 最近では、創業社長や経営幹部の高齢化により、世代交代が起きています。経営権を受け継いだ30歳代から40歳代の社長が、自分の経営方針の実行をサポートしてくれる「パートナー」を求める求人がよく見られます。

 こうした2代目、3代目社長には、大都市圏でビジネスの経験を積んだ後、地元に戻って家業を継ぐケースも目立ちます。彼らは、都会で学んだ先進的なビジネスモデルや経営手法を取り入れたり、新規事業に取り組んだりする意欲が高いのです。

 しかし、先代社長を支えてきた経営幹部はやはり高齢になっており、定年間近。若い世代も、新しい戦略を実践するには経験が不足しています。そこで、大都市圏でのビジネス経験を持ち、自身が目指すビジョンを共有して戦略を推進してくれる人材を採用したいとするニーズが生まれているのです。

後継者の指導・育成は外部人材のほうがスムーズなケースも(写真はイメージ=PIXTA)

 また、地方の経営者が子息に事業を引き継ぐにあたり、「まだ若く、知識や経験が足りていない」と感じる場合、「指南役」として50歳代から60歳超のベテランを招くケースもあります。「社長自身が直接経営を教えればいいのでは」と思われるでしょうが、親子では客観的な目で接し、指導・育成することが難しいと感じているのです。そこで、「第三者の客観性を持つ外部のベテランビジネスパーソンに指導・育成の役割を任せたい」と。そして、次期社長が就任したら、「番頭」的な役割を務めてくれることを期待しています。

 いずれも、会社経営の根幹を担い、新しい事業や組織づくりにも携われるポジション。そこにやりがいを感じた方々がU・Iターン転職を果たしています。

 例えば、大手メーカーのグループ会社で管理部長を務めていた50歳代後半の定年間近だった方が、九州で新規株式公開(IPO)を目指す企業にCFOとして入社したケースがあります。その方にとってはそれまで一度も訪れたことがない土地だったのですが、「自分のキャリアを生かし、IPOという大きな夢を追える」ことにやりがいを感じて移住を決意しました。当初は単身赴任していましたが、休日に遊びに来た奥様がその土地を気に入り、家族も移り住んだそうです。

 また、大手サービス会社で経営戦略立案やM&A(合併・買収)業務を担っていた40歳代の方が、九州にある医療関連法人の経営企画職として転職しました。その方も九州には全く縁がありませんでしたが、数日間滞在して、その土地を見て歩き、「ここなら住みたい」と思えたそうです。結果、転職と同時に奥様とともに移住。東京在住時と同じ家賃で広さ1.5倍の家に住み、休日は温泉巡りを楽しんでいるそうです。

 移住まではしなくても、「社外取締役」「非常勤監査役」などで月に1度の出張で経営に関与するケースや、「業務委託」「顧問」などの形で契約し、週に数日、その地方に滞在して首都圏と行ったり来たりで業務に携わる方も最近増えてきました。

地方にも面白い仕事 政府のマッチング施策も

 IT(情報技術)・ネットが進化した現在、地方に拠点を置いていても全国にビジネス展開ができる環境が整っています。「地の利」を生かすことで成長している企業も多数。「面白い仕事をするならやはり大都市」という思い込みは捨ててください。

 政府の施策に目を向けてみても、地方企業でキャリアを生かして活躍するチャンスが広がっています。

 内閣府の地方創生推進室では、地域活性化の支援事業の一環として「プロフェッショナル人材戦略拠点」のプロジェクトを進めています。これは、大都市圏の企業と比べて採用力が弱い地方企業でも、「プロフェッショナル人材」(大都市圏にいる、事業企画や経営の経験が豊富な人材)を獲得できることを目的としたもの。自治体に採用側と転職希望者のコーディネートを行う窓口を設置する、採用を実施した企業に対しその費用を助成するなど、自治体ごとに異なるものの、両者のマッチングを促進する施策が打たれています。

 自治体によってまだまだ温度差はありますが、この制度を積極的に活用しようとしているエリアもあります。地方への移住・転職を視野に入れている方は、希望するエリアでの取り組み状況を確認してみてはいかがでしょうか。

「家族との対話」「現地の生活のイメージ」が重要

移住を考える場合は、家族との対話がより重要になる(写真はイメージ=PIXTA)

 「移住」が伴う転職を決断するとなると、「家族との相談」がより重要となります。

 まずは、子どもの教育方針。子どもがまだ小さい場合、「自然豊かな環境で伸び伸び育てたい」「大都市圏の学校に進学させたい」など、夫婦間で意見が食い違うことがあります。その方針をすり合わせること、そして何より子ども自身の気持ちに耳を傾けることも大切です。

 家族で移住すると決断したら、子どもの進級・進学のタイミングを踏まえ、スケジューリングしてください。たとえば、先に夫が地方に移り後から家族が追いかけるといった場合には、その間の生活費が二重にかかることになりますので、資金計画も必要です。

 また、妻が仕事を持っている場合、夫が知らないキャリアビジョンを描いているかもしれません。状況によっては妻も転職、または一時的に別居という道を選ぶことにもなります。移住の検討を機に、夫婦のキャリアビジョンも共有しておきたいものです。

 旅行で訪れ気に入った土地でも、いざ住んでみると、不便や不満を感じることももちろんあります。観光地だけでなく、商業・文化・医療などの施設、教育環境などを確認し、その土地での「生活」を具体的にイメージするようにしましょう。移住先として気になる地域があれば、大型連休を利用して、家族で訪れてみてください。

 「ふるさと体験ツアー」などのイベントも開かれていますので、親子で参加してみる手もあります。その土地の慣習、その土地に住む人たちとの交流も経験して、判断材料としてはいかがでしょうか。

森本千賀子

 morich代表取締役 兼 All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「のぼりつめる男 課長どまりの男」(サンマーク出版)ほか、著書多数。

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