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出典:NIKKEI STYLE 出世ナビ 次世代リーダーの転職学

1社に縛られず稼ぐ時代 成功の極意は3つの力に

エグゼクティブ専門の転職エージェント 森本千賀子

企業の柔軟な雇用が進み、自分に合ったスタイルで働く人が増えている。写真はイメージ=PIXTA

 厳しい生存競争を勝ち抜くため、企業では新規事業の開発や、事業・組織の変革が活発化しています。それらを担う人材ニーズも高まっていますが、需要に対して供給が追い付いていないのが実情で、近年は柔軟な雇用形態で人材を迎えるケースが急増しています。一方、働く側も1社の雇用に縛られず、自由な働き方を選ぶ人が増えてきました。企業側と求職者側のトレンドと、そのメリットについてお伝えします。

プロ人材を「正社員」以外の形で活用

 私はおよそ25年にわたり、転職エージェントとして求人企業と転職希望者の皆さんをつなぐ役割を務めてきましたが、このところ企業側と働く側の双方で「雇用形態」への意識が大きく変わってきているのを実感しています。

 まず、企業側が人材採用を行う際、雇用形態にこだわらなくなってきました。もちろん、企業側がその時々の経営状態に合わせて雇用調整ができるようにと「派遣社員」「契約社員」を活用するようになったのはずっと以前であり、すでに定着しています。

 ところが、最近になって顕著な傾向は、事業の拡大、新規事業の創出、組織変革など、経営のコア部分を担う人材についても、柔軟な雇用形態で受け入れる企業が増えているということです。こうしたポジションは従来であれば正社員が担い、自社内に知見や経験を持つ人材がいなければ、正社員として中途採用するのが常でした。それが、正社員以外の雇用形態で、一定期間の契約を結んでプロの知見・経験を生かしてもらうという雇用の方法が広がっているのです。

 もちろん、こうした雇用形態は昔からありました。例えば、「顧問」「社外取締役」などと呼ばれるポジションです。ただし、これらのポジションを務めるのは定年を迎えた方々が中心でした。それが最近では、30歳代後半から50歳代にかけての層が、「プロフェッショナル人材」として、自分が得意とするスキルやネットワークを複数の企業に提供するケースが増えています。

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 今は、労働力需要に対して供給が追い付いていない状況。企業側としては、ビジネス環境の進化のスピードに対応していくためには、求める人材が応募してくるのを気長に待つなんてことはしていられません。そこで、本来はフルタイムで勤務してほしくても、「2人に業務委託して、それぞれ週2、3日の出社ペースで分担してもらう」といった雇い方でカバーしていたりします。

 実際、正社員採用を希望している企業に対し、私からそうした雇用スタイルを提案すると、すんなり受け入れてもらえるケースが増えています。

得意分野を生かした自由な働き方を選ぶ

 一方、働く人の側にも「正社員」にこだわらない人が増えています。

ワークライフバランスの充実を求め、自由度の高い雇用形態を選ぶ人も多い。写真はイメージ=PIXTA

 何らかの得意分野を持つプロフェッショナル人材たちの中には、むしろ一つの会社に縛られるのを好まず、自分のスキルをより生かせる場所を常に求めている方が大勢います。そうした方々は、半年なり1年なりの一定期間、企業と契約してプロジェクトに携わります。複数企業でのプロジェクトを同時に遂行する方もいます。

 特に、新商品・サービス開発、新規事業開発、組織変革、人事制度改革、システム導入、新規株式公開(IPO)準備など、「立ち上げ」「変革」のプロジェクトを担う人材については、こうした働き方がフィットします。軌道に乗せて運用フェーズに入ったら、次のプロジェクトに移っていく、といったようにです。

 中には、そのまま正社員として入社するケースもありますが、それよりも次の活躍ステージを求める人が多く、こうした働き方を選んでいる人たちは、そろってこう語ります。

 「正社員だと、ムダな会議に出なくてはならなかったり、組織人として業務以外のことに時間や労力を割かなければならなかったりする。そういうものを省いて、自分の力を最大限発揮できる働き方がしたいんです」

 そして、彼らがこうした働き方を望む大きな理由がもう一つあります。「ワークライフバランス」の充実です。会社に縛られているムダな時間を省き、自分が大切にするものに時間を使いたいということ。

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 ちなみに、正社員としてフルタイム勤務していた頃よりも、この働き方にしてからのほうが収入が上がったという方も多くいます。生産性が高い働き方をして、かつ自由な時間も手に入れているというわけです。

 この働き方を選んでいる方々の理由はさまざま。私がお会いした中では、「登山が趣味で、年に何回かは海外の山に出かけて1カ月は滞在したい。だからフルタイム勤務は無理」という経営管理職の方、「花粉症がひどいから、花粉が飛ぶ期間中はハワイに滞在する」という事業開発職の方、「ボランティア活動をするために、1年のうちの一定期間は途上国に行く」というプロジェクトマネジメント職の方などがいました。

 こうした趣味の活動のほか、「育児」を理由に挙げる方も多く見られます。「子どもが幼いうちは一緒に過ごす時間を多く取りたい」「共働きなので、夫婦で家事・育児を分担したい」など。

 そして今後は、「介護」を理由に正社員以外の働き方を選ぶ人も増えてくることでしょう。

 団塊世代が後期高齢者にさしかかる時期には、介護と仕事の両立という悩みが生じてきます。フルタイム勤務が難しくなった場合、休職制度を使うにしても、介護サービスも利用するなら、24時間介護に時間を費やさなければならないわけではありません。

 空いた時間をビジネスにあて、キャリアと収入を途切れさせない。そうしたスタイルで働き続けられるようにする仕組みは、日本の社会に浸透していくべきだと思います。

柔軟な雇用・働き方を支援するサービスが登場

 サーキュレーション(東京・渋谷)では、企業に対して「実働支援型コンサルティングサービス」を提供。経営課題とゴールを踏まえ、ニーズに合致する専門家を集めてプロジェクトを組成・実行します。

 その専門家とは、同社に登録している50歳以上のシニアエグゼクティブや、30歳代~40歳代の「ノマド」「インディペンデントコントラクター」と呼ばれる人たち。経験・スキルを生かして1時間単位でのアドバイス提供から、半年から2年程度のプロジェクトにアサインする仕組みです。

 また、エッセンス(東京・中央)では、「プロパートナーズ」事業として、経営課題を解決する「現役プロ」をビジネスパートナーとして紹介。企業側は、月2回・2時間程度から、必要な頻度・期間でプロの知見・人脈を活用できます。

 こうしたサービスが広がっていることで、自由な働き方を望めば、それができるステージを見つけやすくなっているといえます。しかしもちろん、パートナーとして選ばれるためには、コアスキルを磨き、経験を積んでおく必要があります。

 今は会社員でも、いずれこうした働き方を望む人は、「経営の視点」「組織を俯瞰(ふかん)・横断する力」「周囲を巻き込む力」を磨いておくことをお勧めします。

 特定分野でのコアスキルを極めることも大事ですが、それでは「一作業者」の域を出られません。経営課題解決に際しては、組織を俯瞰し、複数部署を横断してコミュニケーションを取ったり、協力を得たりすることが必要となってきます。

 今の会社で、自分の部署だけで仕事を完結させるのではなく、多くの部署や人と連携する取り組みを、率先して手がけていってはいかがでしょうか。

森本千賀子

 morich代表取締役 兼 All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「のぼりつめる男 課長どまりの男」(サンマーク出版)ほか、著書多数。

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