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出典:NIKKEI STYLE 出世ナビ 次世代リーダーの転職学

転職するか、とどまるか 40代の岐路は3要素で見極め

経営者JP社長 井上和幸

40歳からの転職は3つの視点で判断したい。写真はイメージ=PIXTA

 40代に入ると、会社員人生もいよいよ折り返し地点に差しかかります。「職務経験も積み、実績も出してきたが自分は正しく評価・処遇されているのだろうか。現状が悪い訳ではないが、まだまだやれる気がする」。一つの節目の年齢ということもあり、転職を真剣に考えるようになる人が多くいます。40歳以降に転職すべきか、現職に留まるべきか、どのように判断すればよいでしょうか。

転職判断は「自分」「自社」「市場」で決まる

40歳ともなると、会社内での立ち位置もあらかた固まり、どのようなジョブローテーションがありうるか、自分がどのくらいのポジションまでいけそうかなど、今後の可能性がおおよそ見当もつくようになってきます。一方で、まだ60歳までは20年。今後は65~70歳まで現役世代となる可能性を考えれば、あと25年、30年も社会人人生はあるわけです。

 自分の経験や実績に対して、正当に評価・処遇されているのか。また、同世代での出世競争も気になるところです。外に目を向けると、自社を取り巻く市場環境は競争が激化していたり成熟していたり、自分が身を寄せている組織、企業はこのまま安泰といえるのか、心もとない気もしてきます。

 40代を迎えた方がこのまま留まるべきか、あるいは新天地を求め転職すべきか。このことに関するご相談を非常に多くの方からいただきます。個別には皆さんの経歴や状況などを詳しくお伺いする必要がありますが、ここではできる限り間違いや勘違いを犯さずに判断できる「公式」をご紹介します。

 40歳を過ぎて、その後のキャリアを考えるにおいて、比較検討すべきは次の3点です。

  • 自身の経験・スキル
  • 自社(事業)の処遇
  • 市場・事業環境の可能性

 この3つの「パワーバランス」をチェックしていきましょう。

力を100%以上発揮できる環境を

 まず、「自身の経験・スキル」と「自社(事業)の処遇」を比較します。

 自身の経験・スキルの方が自社の処遇を上回っている方、つまり、自身の経験・スキルの割に自社での処遇が正当になされていない場合は転職を真剣に考えましょう。逆に、自身の経験・スキルに対して自社の処遇が良い、恵まれているなら、悪いことは言いません、留まる方向で考えてください。

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 ここでいう処遇とは、もちろん年収もありますが、それ以上に与えられている職務のレベル(難易度・重要度)と捉えてください。

 40歳以降、社会人の中盤戦・後半戦をどう戦うかを考える際に、最も大事なことは、自身の「チカラ」を100%以上出し続けることが、今から今後においてできる環境に身を置くことです。

 これまでの経験や知識・スキルをいかんなく発揮でき、自分のバリューをしっかり出せることは、今の役割や年収をしっかり確保するためにも重要ですし、今後さらにそれを上げ続けていくためにも必須です。今100%、150%の力を発揮できていないと、自分の足腰(あるいは頭の回転)を弱め、将来につながる仕事力を衰えさせてしまいます。それが最も危険なのです。

 まだまだ長い先を考え、自分の将来価値をしっかり担保できる場に身を置きましょう。それは現職でしょうか、あるいは別の、もっとあなたに期待と負荷をかけてくれる新天地でしょうか。

昇りエスカレーターに乗れ

 次の比較は「自身の経験・スキル」と「市場・事業環境の可能性」です。

 自身の経験・スキルが、いま従事しているビジネスの市場・事業環境の可能性よりも、他の伸び盛りの市場・事業環境でもっと価値を発揮できそうなら転職、いま従事しているビジネスの市場・事業環境の可能性の中で、まだまだ自身の経験・スキルを磨き、伸ばす余地が大きいなら留まれ、です。

駅員の切符切りの技術は自動改札機に置き換わってしまった。写真はイメージ=PIXTA

かつて、駅員の仕事に切符切りという職人芸がありました。いかに速やかに改札を通る乗客の切符にパンチ穴を入れるかという技能が、乗客のさばきを大きく左右し、そのスピード(と美しさ・笑)に卓越した人が優秀な駅員でした。彼らは一生懸命その技に磨きをかけていたといいます。しかしご存じの通り、今やその仕事は全て自動改札機にリプレースされてしまいました。

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 人工知能(AI)や、あらゆるモノがネットにつながるIoTの活用などで、パソコンの定型作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、無人化、自動運転化などが急速に進み始めています。コールセンターのオペレーター、コンビニのレジ、タクシードライバーの業務などはこれから5年、10年以内に「駅員の切符切り」化が進行することでしょう。

 「昇りエスカレーターに乗れ」という言葉があります。いくら頑張って階段を駆け上がろうとしても、階段自体が下りの方向へと動いているならば、労力が無駄に消費されてしまうか、最悪の場合、成果ゼロまたはマイナスということにもなりかねません。先の長い社会人人生、ご自身の就労する事業環境、市場環境の行く末をしっかり俯瞰(ふかん)しておくことも必要です。

 ただ、ここで1点気をつけていただきたいのが、いくら「市場・事業環境の可能性」を見ても、「自身の経験・スキル」との掛け算がない領域を考えてはいけません。AIに可能性がある、ゲノム関連はこれからの有望な医療事業テーマのはずだと分析しても、自分がその業界のどの職務で貢献できるのか。その業界におけるコア業務を担うことができないのに、可能性が高そうな「注目の」「はやりの」業界を目指すことはやめましょう。影響力のある職務で成果を出せる可能性の少ない転職は、多くの場合、転職先企業で苦境に陥ることになるのです。

変化の中で安定を求める「リスク」

 事業環境の変化が激しい時代だからこその「リスク」の考え方があります。それは、「留まる、安定を求める、しがみつく」ことの方が、「チャレンジする、変化を求める」ことよりリスクが大きいということに他なりません。今の安定こそ明日の激変、衰退が当たり前の時代なのですから。

 とはいえ、リスクを取るマインドセットや行動が苦手な人が40歳を過ぎて、自身の経験・スキルよりも自社の処遇、市場・事業環境の可能性が上回る場合に転職することは無謀です。ある程度先の見える現状に満足して、社会人の「余生」を生きるか、それでもやはりチャレンジするのか、ぜひとも、熟考の上での行動をお願いします。

井上和幸

 経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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