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出典:NIKKEI STYLE 出世ナビ 次世代リーダーの転職学

女性の管理職「食わず嫌い」 残念な本当の理由と対策

エグゼクティブ専門の転職エージェント 森本千賀子

女性管理職の比率向上は女性活躍推進の重要なバロメーター。写真はイメージ=PIXTA

 女性活躍推進法の施行から2年強。育児と仕事の両立を支援する制度などの整備が進み、出産後も働き続ける女性が増えています。しかし、政府が企業に求める「女性管理職比率の向上」はなかなか進まないのが現状。女性が管理職として当たり前に活躍し、企業とウインウインの関係を築くために、女性当人および企業にはどんな意識改革や施策が必要なのでしょうか。

実は女性が管理職に向く理由

 政府は2020年までに「女性管理職比率を30%に引き上げる」目標、通称「2030(ニイマルサンマル)」を掲げています。

 ところが、当の女性たちは「管理職になりたくない」派が大多数。求人情報サイトを運営するキャリアインデックスが17年に働く女性450人を対象に実施したアンケート調査でも、管理職に「なりたくない」と回答した女性は87.3%に達し、「なりたい」人はわずか12.7%にとどまっています。

 しかし、私は、女性は管理職に向いていると考えています。男性にはできないマネジメントスタイルで、女性ならではの強みを発揮できるのです。

 私が実感しているところでは、男性管理職は「組織の目標達成」への意欲が先行するのに対し、女性は「人を育てる」ことに重点を置く傾向が強いようです。女性が本能的に備えている「母性」によるものでしょうか。

 実際、不安を抱えながらも管理職になった女性たちからは、「自分が手間と時間をかけた部下が成長していく姿を見るのがうれしい」「○○さんの指導のおかげで○○ができるようになりました、と感謝されてうれしい」といった声が聞こえてきます。

 組織づくりを行うときには、目指すゴールを見すえてチーム内の役割分担を決めますが、その場合、スポットが当たるメンバーとそうでないメンバーがおのずと区別されがちで、「スタープレーヤー」の陰にフェードアウトしていくメンバーも存在します。これではチームとしての強さにはつながりません。

 その点、女性は「成長を支援してあげたい」という思いから、一人ひとりのメンバーの個性や強みにフォーカスし、それを生かす方法を考える傾向があるように思います。結果、個々人の力が最大化されてパフォーマンスが向上し、チームとしての達成に結びつくのです。つまり、長期的視点で組織の活性化、成長を図るためには、女性が得意なマネジメントスタイルが生きるというわけです。

管理職経験を積めば、働き方はより自由に

 「出世願望とかないから……」。管理職昇進に前向きではない女性は、そんなふうに言います。でも、管理職になることは、「偉くなる」というより「自由になる」手段であるとしたらどうでしょう。

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 出産後、復職して管理職を務めているある女性はこう言います。

 「子どもを迎えに行くために、午後5時には退社。だから社内ミーティングは私の都合に合わせてもらい、午後5時以降には入れない。急ぎの案件が入ったときなど、家庭の事情で自分が対応できない場合は部下たちに割り振る」

 つまり、管理職になることで、業務や時間を自分の都合に合わせてコントロールできるようになるのです。一般のメンバーだと、上司や同僚たちの都合に合わせなければならず、自分の思うようにスケジュールを組むことは難しい。管理職はその点、自由度が高く、育児と仕事を両立する女性には働きやすいと感じている人も多いのです。

 そして、マネジメント経験を積んでおけば、この先転職する際にも「自由度」が高いといえます。つまり、選択肢が多いということです。

 「2030」の達成に向け、女性管理職を増やそうと取り組んでいる企業はたくさんあります。これに伴い、女性管理職の求人も増えています。社内で登用するにはさまざまなしがらみがあり人選ができない、あるいは、これまで女性が出世する文化がなかったため女性社員の意識改革が困難、といった事情によって、外部から女性管理職を迎えたいとする企業が多いのです。

 マネジメント経験を積むことで、成長している分野へと、業種をまたいだ転職もしやすくなります。働き方改革が進んでいて、柔軟な働き方ができる企業に移るチャンスもあります。将来の選択肢を広げるためにも、マネジメントスキルを磨いておくことは得策といえるのです。

企業がまずやるべき4つのこと

 では、管理職昇進に前向きでない女性たちが、それを承諾し、生き生きと役割を果たせるようになるために、会社としてはどんな働きかけをすればよいのでしょうか。ポイントは以下の4つと考えています。

小規模のマネジメントからスタート

 いきなり10人規模のチームの管理職を任せられても、女性は戸惑ってしまいます。そこで、組織の担当業務を細分化し、2、3人のチームリーダーからスタートするのがいいでしょう。これまで「先輩社員」という立場でしてきた新人・若手の指導の延長線で、少しプラスするくらいのレベルの役割を与えるのです。

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 まずは小規模のマネジメントを経験し、先ほども触れた「メンバーの成長を見る喜び・やりがい」を感じれば、マネジメント職への意欲も高まると期待できます。一足飛びに「抜てき」するのではなく、段階を踏んでマネジメント規模を大きくしていくのが得策です。

女性の登用は「出産前」がベスト

 女性の場合、結婚・出産によって生活が大きく変化しますので、管理職に登用するタイミングも重要です。私は、女性に初めて管理職を経験させるなら「出産前」が望ましいと考えています。

 マネジメントを経験していないうちは、「難易度」の見当がつかず、不安を覚えるもの。実際、管理職になりたくない女性に「なぜ嫌なの?」と聞くと、多くの場合「大変そうだから」という答えが返ってきます。でも、実際のところ「どう大変か」「何が大変か」は理解していません。実際に管理職に就いてみると、「想像していたより大変じゃなかった」「意外とこなせる」という声は多いのです。むしろ、大変だけれどもそれ以上にやりがいがあることも体感します。

 出産前に「やっていけそう」という感触を持っておけば、産休から復帰した後も管理職をこなせる自信が持てる可能性は大。だから、上司の皆さんは女性たちに「前倒しキャリア」を積ませることで、出産後のマネジメント業務への意識のハードルを下げておくことをお勧めします。

ロールモデル、メンターをつくる

女性管理職の育成ではロールモデルやメンターの存在も重要になる。写真はイメージ=PIXTA

 初めてマネジメントを経験するにあたっては、いろいろな壁にぶつかるし、迷いも生じます。そんなときにロールモデルとなる人物、あるいはメンターとして頼れる人物を、会社が用意してあげることも大切です。これは、必ずしも女性でなくても構いません。社内にいなければ、社外の人に依頼してもいいでしょう。

 「チームミーティングの運営をどうするか」「部下にこんな相談を持ちかけられたらどう対応すべきか」など、困ったときに頼ることができ、マネジメントの心得やノウハウを伝授してくれる人と交流を持てるようにお膳立てをしてあげてください。

 会社側からメンターを提供する場合は、「この人につきなさい」ではなく、複数のタイプの人を用意して、本人が自分にフィットする人を選べるようにするのが望ましいといえます。

男性管理職を活性化させる

 女性が「管理職になりたくない」というのは、男性上司を見ていて、その姿を魅力的に感じていないから、という要素も大きいようです。現時点で管理職を務めている男性たちがもっと輝き、やりがいを持って働く姿を見せることができれば、女性部下の意識も変わってくるのではないでしょうか。

 「男性管理職が魅力的でない」は、本人の問題もありますが、会社の責任もあるかもしれません。男性管理職が生き生きと働ける仕組みや環境をつくれていないということです。そこから見直し、整備していくことも大切だと思います。マネジメント体制や評価制度の刷新、あるいはリーダー研修の導入など、男性管理職が活性化するような施策も検討してみるとよいでしょう。

 いかがでしたでしょうか。女性の管理職「食わず嫌い」は本当にもったいない話です。女性ならではの強み・特長を生かしたマネジメントで、もっともっと活躍できるでしょう。また、会社側のていねいな環境づくりは、企業の成長・発展のためにも欠かせないものといえます。ぜひ早い時点で取り組まれることをお勧めします。

森本千賀子

 morich代表取締役 兼 All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「のぼりつめる男 課長どまりの男」(サンマーク出版)ほか、著書多数。

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