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転職の成功に必須 「デキる人」と思わせる5つの裏技

経営者JP社長 井上和幸

新天地では影響力が発揮できるよう上手にスタートを切りたい。写真はイメージ=PIXTA

 まもなく年度の折り返しとなる10月。異動や転勤、昇進、あるいは転職によって新天地でスタートを切る方も多いと思います。心機一転のこの時期こそ、自分のリーダーシップにギアを入れる絶好のタイミングでもあります。リーダーシップをひと言でいえば、周囲に影響力を発揮することですが、それには「王道」と「裏技」があることをご存じでしょうか。今回はミドル世代の方にお勧めしたい5つの「裏技」をご紹介します。

着任したらギアをトップに入れて結果を出せ!

 心理学者、ロバート・チャルディーニ博士の古典的名著「影響力の武器」に、リーダーとして日ごろ発揮したい「影響力の5つの源泉」が記されています。それを、人事コンサルティング会社のリンクアンドモチベーションで会長を務める小笹芳央氏が分かりやすく翻訳したものが次の5つになります。

(1)すごい =専門性・社会的証明

(2)すてき =人間性

(3)ありがたい =返報性

(4)ぶれない =一貫性

(5)こわい、厳しい =権威・恐怖心

 これは、皆さんが日々どうあればよいかをチェックする項目として、まさに「王道」の内容です。まず覚えておいてください。これを解説すると連載数回分になりますが、今回の本論はこちらではありません。皆さんが新天地で賢く、上手にスタートするためには、その裏技、「影響力の『ウラ』5つの源泉」が重要になってきます。私が多くのミドル世代のキャリアをコンサルティングしてきた中で独自に整理したものですが、一つずつひもといていきましょう。

(1)最初が肝心 =初頭効果

 「最初の90日」というフレーズを聞いたことがありますでしょうか。異動や転職で新しい組織に着任したら、「最初の90日(3カ月)が最も肝心、勝負!」だというメッセージです。「初頭効果」は、人は最初のイメージがその後ずっと付いて回る、という心理学用語です。

 あなたの部署に新しい人が来ました(異動かもしれませんし、転職で入社して来た人かもしれません)。その人が着任後、早々にこれまでの部員が着手できていなかったことの解決策を提示したり、あるいは営業で受注を次々と獲得したりすると、「おお、この人、できる!」と一目置きますよね。逆になかなか動き出さなかったり、まだ勝手が分からないとしても要領を得ない動きばかりしていると、「なんだ、この人、大丈夫かな?」と思うでしょう。

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 このイメージはばかにできず、新任者のイメージは9割がた固まってしまうのです。最初にいい提案や受注をした人は、その後さほどの業績でなくても「できる人」のイメージが付いて回り、逆に最初に動きや印象が悪かった人は、その後に挽回したとしてもなかなかイメージは覆りません。

 できる人は、これをよく知っていて、最初だけは「何としても、いいカッコできるよう」全力を尽くします。そこで得られる残存効果を理解しているのです。

おいしいネタは、隠さず使え! 最後に話せ!

(2)実績を語れ =ハロー効果

 新天地への赴任で好スタートを切りたいなら、「能ある鷹(タカ)はつめを隠す」などということは絶対にダメ。あなたがいかにできる人であっても、それを新しいメンバーたちに知らしめなければ、相手はあなたを認めようがありません。

 「ハロー効果」とは、何かを評価をするときに、その人やものが持つ顕著な特徴に引きずられて、他の特徴についての評価がゆがめられる(認知バイアス)現象のことです。「後光効果」ともいわれます。

 たとえば、あなたの前職が業界では有名なトップ企業で、そこから中堅の現社に転職してきたなら、周囲はそれだけで確実に「あのトップ企業から(鳴り物入りで)転職してきた人」という認知をするでしょう。さらに前職までに何かトピックとなる受注やプロジェクトの実績があれば、それは事実情報として早めにメンバーに周知したいところ。事実としての実績や経験、エピソード、バックグラウンドとしての自己ブランドなどは堂々とアウトプットすべきです。

 もちろん、実際の業務はからきしダメでは、ハロー効果の悪い意味で使われる「親の七光り」的なことになってしまいますから論外ですが、新天地でのスタートダッシュは、(1)初頭効果+(2)ハロー効果で、ぜひ周囲に最初の一撃を見舞っていただければと思います。

(3)終わりよければ =ピークエンドの法則

会議の最後に的確なまとめをできる役割は重要。写真はイメージ=PIXTA

 日常業務での気合の入れどころ、抜きどころというのも、現実問題として非常に重要です。24時間365日、トップギアで走り続けられるなら別ですが、どんなに馬力のあるリーダーでも、上手にギアチェンジを繰り返さなければ、早晩どこかでバーンアウトしてしまいます。肝心なのは「終わり」のタイミングに気合を入れること。会議の終わり、週の終わり、月末などの「節目の最後」でアウトプットを意識するのです。

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 「ピークエンドの法則」とは、人は過去の経験を、そのピーク(絶頂)時にどうだったか(うれしかったか、悲しかったかなど)と、それがどう終わったかだけで判定するというもの。定例会議などでは、あれやこれや報告や議論をされても、みんなの記憶に残るのは、何か最も印象的な発言がされた部分と、最後に話されたことくらいです。影響力を発揮したいあなたは、何か有効な提案や情報があれば、タイミングを見つつ、会議のヤマ場でそれを発信しましょう。あるいは最後に、会議全体を的確に総括する役割の発言をすることに注力したいものです。

トップや上役にかわいがられる2つのテクニック

(4)ニッチな穴を掘れ =対比誤差

 あなたがもしオーナー企業に入社したとすれば、社長が大切にしていることには是が非でも意識・目配せし、折に触れてそれをアウトプットするよう心掛けましょう。それだけで他の既存メンバーと差別化できることも多いものです。

 何か周囲がスルーしている大事なことは見つかりませんか。たとえば、自社の理念や社長が掲げているメッセージを覚えるといったことでも、意外にポイントは高くお勧めです。

 オーナー、特に創業者は、自社を立ち上げた理念や方向性について、とても大切に思っていて、それをホームページや社内に掲げたりします。しかし、一般の社員は幹部であれ若手であれ、これをしっかり覚えている人は、寂しいことに、かなり少ないものです。ことあるごとに、「それは、我が社の理念に○○とあるように」「でも、それって社長が掲げている○○からすると」といった発言を繰り返しましょう。社長は見ています。

 「対比誤差」とは、絶対基準ではなく、誰かを基準にして被評価者を評価する際のエラーをいいます。対比誤差により、被評価者を過大あるいは過小に評価してしまう危険性があるのですが、これを逆手に取るのです。

 要は、本来は自社の理念や社長のメッセージは全員が覚えているべきことでしょうが、現実としてそれをちゃんと記憶している人が少ない(基準)ため、「単にそれを覚えただけ」のあなた(被評価者)に対する社長の評価が格段に高まるというわけです。社の理念や社長メッセージにかかわらず、対比誤差を生んでくれるネタは、探せばたくさんあるはずです。

(5)かわいがられろ =寛大化傾向

上司や周囲と仲良くすることは重要なポイント。写真はイメージ=PIXTA

 最後に「寛大化傾向」です。「寛大化傾向」とは、人事考課において評価が甘くなり、適切な評価を実現できていない状態を指します。理由はいくつか考えられ、「好きな部下には甘くなる」「自分より優れた部下には厳しい評価がつけられない」「苦手な部下には厳しい評価がつけにくくなる」といったことです。

 逆の心理で「厳格化傾向」があり、こちらは考課者側の能力が高く、「自分を基準に厳しくつけてしまう」「劣った(という意味で嫌いな)部下の評価が厳しめになる」などが理由になります。つまり、あなたの上司が社長であれ、役員や部長などであれ、仲良くすることを軽視しないことが重要なのです。

 別の心理学理論ですが、リーダーシップの発揮しやすさは、人間関係が良好であるだけで、自分に与えられた権限が及ぼすパワーの4倍、仕事がしやすくなると証明されています。おべっか、ごますり、忖度(そんたく)をお勧めするわけでは決してありません。一方で、結構よくある無用な対立構造や敵対心はバカバカしいことで、何よりも自分のために、上役とは仲良くあった方が、仕事が格段にスムーズに進むという現実を踏まえておきましょう。

 以上が、「影響力の『ウラ』5つの源泉」です。新天地で活躍するためには、早期に自分自身が活躍しやすい「良い場」を獲得することがすべてです。また、適切な人に、適切なタイミングで、自分を適切に想起・認知してもらう状況を獲得・死守することが、あなたの今後の成功を確実なものとしてくれます。ぜひ、この5つの源泉を駆使し、新たなポジション・環境で上手なスタートを切っていただけるよう願っています。

井上和幸

 経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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