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転職で強い グーグル型「ラーニング・アニマル」とは

経営者JP社長 井上和幸

ミドル、シニア世代になっても常に新しいことを学ぶ意欲は重要だ。写真はイメージ=PIXTA

2019年は歴史の大きな節目の一年になりそうです。5月に元号が変わり、10月には消費税が10%に上がります。来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた選考会が多く開かれ、9月のラグビーワールドカップの日本初開催もトピックです。時代の転換点ともいえる今、企業はどのようなミドル人材を求めているのでしょうか。米グーグルが使う「ラーニング・アニマル(LA)」というキーワードから、その傾向に光を当ててみたいと思います。

求められるのは「これからうまくやれる人」

ミドル人材の採用において、もちろん今年も「即戦力性」が重要であることに変わりはありません。当社にも年明け早々から、現行の事業をしっかり回せる人材、海外事業をリードできる人材、またガバナンス強化をテーマとした管理部門、経理財務、人事などの責任者に対するニーズが数多く寄せられています。

しかし、時代の変わり目となる今、そして今後、本質的に求められるのは「これまでうまくやれた人」ではなく、「これからうまくやれる人」でしょう。「これまでうまくやれた人」の持つスキル・技術・専門性や経験は、すでに陳腐化しているかもしれず、採用後には使い物にならない可能性があります。

マーケティング技術はすさまじいスピードで進化している。写真はイメージ=PIXTA

実際に先日、あるアパレルメーカーの経営者とお話ししていて、「消費財メーカーのマーケティング部門で実績を上げていた人を採用したが、全く機能していない」という悩み相談を受けました。聞けば、その方は、テレビや新聞、雑誌などのチャネルを主とした個人消費者向けのマスマーケティングの経験と実績をお持ちでしたが、同社は現在、チャネルをデジタルにシフトしつつ、ビジネスモデルもサブスクリプション(定額課金)型へ移行させようとしています。

そのスタイルで求められるデジタルマーケティング、ソーシャルネットワークでのPR、また顧客との関係性も、購買前の事前期待値を高めるアプローチから購入後(定期購入者となった後)の継続的なコミュニケーション、リテンション(関係性の維持・強化)型へと移行させなければならない中で、旧来のマーケティング思考と方法論から脱することのできないリーダーのようでした。

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「採用ミスですね」。その対応についていくつかの方策をお話しし、私もリカバリー支援に動きますが、一度採用してしまった人、しかもそれがミドルのマネジメントであると、これは会社側にとってもなかなか重たい問題です。当然すぐに辞めさせるわけにもいかず、影響は当人だけでなく部署全体にわたります(しかも同社において非常に重要な部署であり、深刻さの度合いはさらに大きい)。

もちろん、採用された当人にとっても、期待されている力を発揮できず役割責任を果たせない状況は辛いですし、厳しい処遇を覚悟する必要があります。すぐにではなくても、いずれ再度職を変えざるを得ない可能性も大きいでしょう。

LA人材 vs OE人材

このケースで本来望ましかったのは、その方がミドル、シニアであっても常にアンラーニング(学習棄却)できる力、そして常に新たなものを学ぶ力をOSとして持つ人材であることです。グーグルは、こうした人材を「ラーニング・アニマル」と呼んでいます(日経ビジネス文庫「How Google Works 私たちの働き方とマネジメント」より)。

「とびきり優秀な人でも、変化のジェットコースターを目の当たりにすると、もっと安全なメリーゴーラウンドを選ぼうとするケースはやまほどある。心臓が飛び出しそうな体験、つまり過酷な現実に直面するのを避けようとするのだ。(中略)グーグルが採用したいのは、ジェットコースターを選ぶタイプ、つまり学習を続ける人々だ。彼ら“ラーニング・アニマル”は大きな変化に立ち向かい、それを楽しむ力を持っている。」(同書)

ここで、この「ラーニング・アニマル」タイプを、「LA人材」と名付けましょう。一方で、「これまでうまくやれた人」は「オペレーション・エクセレンス」な人(決められた業務、過去に例のある物事をうまく進める力を持つ人)です。これを「OE人材」と命名して、「LA人材」と「OE人材」を対比してみます。

OE人材は一般的に、目標達成の指向性が強いです。「到達目標」を設定し、その達成にまい進します。ライン事業部の事業部長、部長、「できる」と目されているマネジャーの方などに多く見られます。これは素晴らしいことで、今後ももちろん、設定された事業目標の達成に貪欲に食らいついていくリーダー人材は必要です。

これに対してLA人材は、「到達目標」(だけ)ではなく「学習目標」を自らに設定します。学ぶこと自体が目的でもあり、失敗への恐れやプライドなどなく、目先の失敗を気にしないで新たな解を導こうと没頭し、その学習到達の過程で成果を出していきます。さらにLA人材は、その成果に留まることはありません。さらに高い学習目標を立て、その習得・解への到達を目指します。

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「ラーニング・アニマルが目先の失敗にこだわらないのは、長い目でみればそのほうが多くを学び、さらなる高みに上れることを知っているからだ」(同書)

「これまでのやり方が通用しない」「これからのやり方において何が正解なのか、まだ分からない」――。シェアリングエコノミーで、サブスクリプション化で、人工知能(AI)で、自動運転で、あらゆるものがネットでつながるIoTで、ブロックチェーンで、冒頭のマーケティングの例に漏れず、あらゆる業界、企業、職種でパラダイムチェンジが起こっている中、「常にアンラーニングできる力、常に新たなものを学ぶ力をOSとして持つ人材」であることが不可欠な理由は十分お分かりいただけるのではないでしょうか。

面接で差が出るLA人材の受け答え

さて、ではLA人材か否かは、どうすればわかるのでしょう。また、転職する側の皆さんは、LA人材としてどのように臨めばよいのでしょうか。

OE人材が「与えられた解を導く」「過去事例をなぞらえる」ことにたけているのに対して、LA人材は「決まり切ったことは嫌い」「没頭型、情熱派、思い入れが強い」という資質を持ちます。OE人材は「正解」があることを前提に受け答えしようとしますので、例えば面接で、「あなたは仕事への情熱をお持ちですか?」というような質問に対して、実は弱い傾向があります。

結果としては、ただ単に「はい、私は仕事に情熱を持っています」というような答え方をするでしょうが、経営者や人事としては、こういうパターンの発言・回答をする人を採用してはいけません。具体性のない「YES」は、信じるに値しないもの。「具体的には、どのようなことに?」と突っ込みを入れましょう。おそらく期待する答えは出てこないと思われます。

LA人材は面接でも「具体的で」「面白く」語ることができる。写真はイメージ=PIXTA

LA人材はこうした抽象的な答え方はしません。自分が実際にいま思い入れのあること、興味関心の高いこと、マイブームな業務テーマやビジネステーマについて、具体的かつ能弁に語り始めるでしょう。その関心領域が、御社(が採用企業だとして)の事業や業務に重なるならば、これは「即・買い!」です。

あなたの話は「具体的で」「面白い」でしょうか。ちなみに、「面白い」というのは抽象的でありながら、入社後に机を並べて共に働く仲間を評価するにあたって、実は絶対に欠かせない重要指標です。過去の経験を尋ねられた時に、そのストーリーを生き生きと語り、そこから何を学んだかを具体的に語れるでしょうか。

新しい時代に求められるミドル人材の一つの答えが「LA人材=過去からたくさんのことを学んできた蓄積に加え、未来に向けて自ら学習テーマを設定し常に多くを学んでいく人材」です。過去の実績・栄光・成功体験へのこだわりとプライドを捨て、未来への夢や興味関心と、新しいことに飛び込んでいく情熱と学習意欲を、あなたはお持ちですか。

井上和幸

 経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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