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40代に「老後」はない 黒字の人生送る逆転キャリア術

経営者JP社長 井上和幸

人生100年時代の収支は考えているより厳しい。画像はイメージ=PIXTA

40歳代は仕事人生の大きな転機――。パーソル総合研究所の「働く10,000人成長実態調査2017」によれば、ビジネスパーソンは42.5歳で出世を諦め(「出世したくない」が「出世したい」を上回る)、45.5歳で「キャリアの終わりを意識する」人が多数派になっています。しかし、その世代が60歳代となる2040年前後には、人口の3人に1人が65歳以上。年金問題も相まって、「60歳定年まで働けば老後は安泰」という状況は望みにくいでしょう。この「逃げ切れない世代」が生き延びるためには、意識変革と先手を打つことが必須です。

40歳代を待ち受ける人生100年時代の収支

「逃げ切れない世代」の問題については、政府が働き方改革などで対策に着手しています。企業も顕在化する労働力不足に対処すべく、ミドル・シニア世代の活用を検討し始めました。しかし、現実問題としては、政府の施策も企業の対応もまだ十分とは言い難い状況です。一方で、私たちの家計を待ち受けているものはマイナス収支です。

総務省の「平成29年家計調査年報」を見ると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)では、月間家計収支が収入20万9198円、支出26万3717円と5万4519円のマイナス、同じく高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)は収入11万4027円、支出15万4742円で4万715円のマイナスです。無職の世帯で毎月4万~5万円の赤字が出続けていることになります。

これを貯蓄や再就職での収入で賄う必要がありますが、年代別の貯蓄額は中央値で50歳代・2人以上世帯で1400万円、50歳代・単身世帯が1000万円、60歳代・2人以上世帯が1500万円、60代の単身世帯は1206万円となっています(金融広報中央委員会「平成29年家計の金融行動に関する世論調査」)。

ざっくりした計算ですが、毎月の不足額を5万円とすると年間で60万円。これを60歳から80歳まで20年補うとすれば1200万円、90歳まで30年なら1800万円、100歳まで40年なら2400万円となります。また、現在では60歳定年の場合、そこから65歳の年金受給開始までのいわゆる「魔の5年間」があり、もしこの間に雇用が継続していないと、さらに1200万円程度を捻出する必要があります(高齢夫婦無職世帯の月間支出を25万円とし、上記不足分の5万円を引いた20万円に12カ月×5年を乗じた数値)。

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統計データの試算でもすでに帳尻が合っていないことが分かりますが、今後を考えれば受給年齢と年金受給額、生活コスト、当座の給与水準の推移など、どれを取ってもいっそうシビアな状況が予想されます。老後を楽観できる材料が全くありませんね……。

不本意な役職定年と定年再雇用の中身

家計の見直しは折々にやっておきたい。写真はイメージ=PIXTA

追い打ちをかけるように、現状としては定年60~65歳の前に、役職定年(ポストオフ)が待ち受けていることが少なくありません。特に大手企業に勤務する方は、55歳をピークに、早ければ50歳手前から順次役職定年が始まります。それに伴い給与テーブルに基づく役職等級の変更、給与ダウンとなるケースがほとんど。日ごろお聞きしている話では、7割程度に減給となるケースが多そうです。

多くの企業が実施している「60歳定年・5年延長再雇用」を選択した際にも減給が待ち受けています。先のパーソル総研の調査によれば、定年前の「8~9割程度」が6.3%、「6~7割程度」37.6%、「5割程度」21.0%、「4割程度」19.9%、「3割以下」15.1%で、平均すると47.5%のダウン。定年前の半額以下の収入になった人が全体の56%を占めるとのことです。厳しいですね。

ポストオフや定年再雇用による仕事の役割等級のダウンは、家計を直撃しつつ、何よりも当人の尊厳やプライドを傷つけます。気概をもってやってきたのに、その日を境に役割等級が下がってしまう。自分の存在価値がなくなってしまったように感じる人も少なくありません。

しかし一方で、今の60歳代、70歳代は、以前に比べ外見も中身もとても若いです。一昔前の40歳代、50代歳と変わらない方も少なからずお見受けします。定年を機に一線から身を引いてしまうのは、その人自身のためにもご家族のためにも、同時に日本の社会、国家的にも非常にもったいないと感じます。

このテーマは今後の連載でも角度を変えながら折々に注目していきたいと思いますが、今回はまず、次のようなアクションを提案したいと思います。

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ポストオフと定年から逃げる方法

40歳代、50歳代の皆さんが、これから20年を生き延びる「たった一つの冴(さ)えたやり方」は、世間の今の常識にむやみに従わないことです。「もう○歳だから」「残りあと○年」などと言っている場合ではないのです。ポストオフ、60歳定年に黙って従う構えでは、先のシミュレーション通りの寂しい現実しか待っていません。であれば、役職定年や60歳定年から、逃げてみませんか。

現職企業が役職定年制であるなら、逃れるすべは2つ。役職定年を逃れるプロモーション(課長→部長、部長→執行役員、執行役員→取締役などへの昇進)を実現するか、別の会社に場を求めるかです。

昇進でポストオフが先送りできるなら、それが望ましいと思います。ここまで頑張ってきた会社で幹部に昇進できれば、最も成果を出しやすいですし、気心が知れた部下・同僚・上司もたくさんいるでしょう。ミドルやシニアにとって、承認し合える仲間のいる居場所があることは、心身の健康面でも非常に大事です。

もしそれがかなわないならば(かなわなそうであれば)、転職という手段を積極的に取ってみる価値はあるでしょう。本格的にはまだまだこれからですが、ミドル・シニア世代の転職の道はかなり広がっています。

特に事業執行力のある方、管理部門でのマネジメント職の方、海外事業をリードした経験のある方、あるいは特定の専門領域でのスペシャリティーや豊富な人脈を持っている方は、それを求める中堅・中小企業や、海外事業関連などでは大手企業も常時あり、当社にも多彩な企業から幹部採用の依頼が舞い込んでいます。

転職の際は、職務内容や企業風土の相性などを慎重に吟味する必要がありますが、今後のキャリアプランや人生プランを検討するにあたり、自身の市場価値や保有する人的資産の棚卸しのためにも良い機会になると思います。

×「定年後にやる」→○「今すぐ始める」

ポストオフや60歳定年から逃げる道として、もう一つは独立(自営、起業)という選択肢があります。

「井上さん、僕も定年後は会社を創ろうと思っているんだよ」

「趣味で小説を書いていましてね。定年になったら、本格的に執筆に入って文学賞に応募しようと思っています」

「今はまだ早いので、60歳を過ぎたら、講師業にでもチャレンジするつもりです」

転職相談者やセミナー参加者などから、こうした話をよく伺います。その際に私が申しあげているのは、「やりたいことなら、なぜ今すぐやらないのですか?」。

起業や独立の準備が早すぎることはない。写真はイメージ=PIXTA

変にけしかけるつもりはありませんが、私も人材コンサルティングに長く従事し、様々な方のキャリアを拝見してきました。その中には起業して成長企業を創り上げ、上場されてなお高成長を続けて活躍中の経営者、コンサルタントとして独立され引っ張りだこの方、身を転じて別の世界(作家や農業関連、スポーツ関連など)で活躍中の方もいます。成功を手に入れた方々の共通項は、「独立する以前から始めていた」「思い立ったらすぐ動いた」ことです。

もし「定年後にやる」と考えていることがあるなら、少なくとも具体的な準備を今すぐ始める。本当にライフワークにしたいことであれば、定年まで待つ必要などありません。すぐに転身した方がよい。心からそう思います。

皆さんの仕事上の専門タイプは様々です。主にプロデューサー(事業や企画を統括・推進する立場の人)、スペシャリスト(専門技術・スキルを発揮する人)、オペレーター(支援業務、作業系業務を担う人)に分かれますが、それぞれにシニアでも活躍できる道があります。これについてはまた改めて詳しく紹介しましょう。40歳代前半~半ばのキャリアの分かれ道で「そろそろ」を選ぶのか、「まだまだ」頑張るのか。答えを出すのはあなた自身です。

経営コンサルタントの大前研一さんが、著書の中で次のように述べています。

「いま40代・50代の人たちは、2040年に老後があると思ってはいけない。60代・70代になっても仕事をやりまくっている自分をイメージし、そういう方向にマインドセットしていかねばならない。もちろん、健康維持のために体も動かし続けて強化していく必要がある。つまり、考え方の基本的な枠組みを変えていくべきなのだ」(「50代からの稼ぐ力」より)

人生100年時代の40歳代、50歳代は、まだ折り返し地点にすぎません。これまでの「当たり前」や「常識」から脱した攻めの姿勢こそが、充実した20年、30年のキャリアを担保することだけは間違いないでしょう。

井上和幸

 経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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