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ミドル転職の最難関 社長面接のカギは結論ファースト

経営者JP社長 井上和幸

経営者は面接で細部まで厳しくチェックしている。写真はイメージ=PIXTA

40、50代のミドルシニアの転職では、人事の判断だけで採用が決定されることはほぼなく、基本的には社長面接を突破する必要があります。特に幹部職、幹部上級職での採用に臨む際には、初回から社長が面接に出てくることも珍しくありません。そして、何よりも心してかかるべきなのは、社長がミドルやシニアを面接する際の見方は、若手中堅の面接とは異なるところが多いということです。今回はそこを明らかにしてみます。

面接者が社長そのもの、あるいは創業者である会長・CEO(最高経営責任者)などであった場合、多くの転職希望者が身構えます。それなりの幹部職経験者であっても、社長面接の前に不安を覚え、相談・アドバイスを求めることが少なくありません。

社長面接は構えすぎず 面接よりも面談の意識で

大丈夫、あまり構えすぎないでください。あなたが応募しようと考えているクラスの企業であれば、実はその会社のどの人よりも、転職応募時に話しやすいのが社長・経営者です。ここで言う「そのクラス」とは、理念がしっかりしている、成長している、革新的な事業やサービスを展開しているなどの条件を満たす企業を指します。大変な局面にはあるが、変革しようとしている、伝統をしっかりと伝承しようとしているなど、本質的な事業経営テーマを持つ企業だからこそ、あなたはその企業の門を叩こうとしているのでしょう。

もちろん経営者にも様々なタイプがあります。快活な人もいれば強面の人もいて、寡黙なタイプも存在します。しかし、いずれにしても、その企業の取りまとめ役として事業・経営の全責任を背負えるだけの人ですから、視界の広さと、ものを見る時間軸の長さ、好奇心・包容力などの面において、No.2の人以下に比べ、突出したものがあるはずです。もし、そうでない人が社長職に就いていたら、その会社の経営のあり方については、そもそも慎重に再確認したほうがよいかもしれません。

社長が好む話し方、嫌う話し方

社長相手の面接で、とにかく気をつけてほしいのは、次のような点です。

・ 胸襟を開ききる 相手は百戦錬磨の経営者です。すぐにあなたの本質は見透かされるでしょう。あれこれ飾ろうとせずに、肩の力を抜いて、丸裸で臨む気持ちが大事です。

・端的に話す 経営者は総じて気が短い生き物です。自らがものすごい数の判断を日々繰り返しており、冗長なこと、まわりくどいことを嫌います。もしあなたがダラダラ話し始めて、結論が見えないプレゼンテーションをしたら、その途端、にこやかに聞いてくださっている社長の頭の中で(「ああ、この人はダメだな」)とNGが出ていることでしょう。

・思考・行動が前向きであり、将来の展望を自身で持っている 経営者は現在とともに、常に自社の未来を見ています。特に中堅・幹部クラス以上の採用で経営者が期待するのは、直近の事業を牽引してくれることに加えて、未来の我が社を切り開いてくれる可能性を感じられることです。また、総じて経営者は自社をよい会社にしたいという気持ちが強く、その一環で、前向きであることやツキ・運などにもビビッドに反応します(前回の記事「転職で採用されるのは『ツイてる人』 面接で自分演出」もご覧ください)。あなたがツイていそう、「持って」いそうであれば、加算点が期待できます。

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話は結論ファーストで 的確に答え、話に引き込む

社長向きの話し方とは、「結論ファースト」「シンプルに、端的に、わかりやすく、具体的に話すこと」です。まどろこしい、冗長な話し方ほど社長が嫌いなものはないのです。

そもそも、「話し方=仕事力」です。面接での話し方は、そのままあなたが日頃仕事をしているときの話し方の映し鏡です。冗長さはないか、的確に質問の真意に答えているか、わかりやすいか、聞き手が思わず聞き入ってしまうような内容か。これらの点に注意しましょう。

一事が万事です。面接は面接の場ということだけではなく、入社後のあなたの働く姿を垣間見せている場でもあるのです。特に社長は、このことにビビッドな生き物です。入社後、あなたがどんなコミュニケーションをするのか、見抜かれていると思ってください。

社長用に「読める職務経歴書」を用意

一般的に職務経歴書は「A4で1~2枚内でシンプルに」と主要な人材エージェントはアドバイスをします。私も、もし、第二新卒から30歳前後で中堅クラスまでの人の相談に乗る際は(この層は当社では対象外なのですが)、ほぼ同じアドバイスをします。ところが、この形式の職務経歴書を、もしミドルシニアのあなたが持参、提出したならば、これは確実にNGとなります。

人事向けに提出する一般的な職務経歴書は、これまでに担当したことがある職務項目のシンプルな箇条書きが好まれます。これは人事担当者が部門や経営に「どんな要件を満たせばよいか」を求人票項目としてヒアリングしたものと照らし合わせやすいからです。

しかし、社長向けには、職歴については情報ボリュームが多く、しっかりと職務の中身・プロセスや考えも記載されているものが望ましいのです。もちろん、新人時代・若手時代のことについては、あまりに微に入り細に入り記載する必要はありません。

概ね、現在からさかのぼること5年ほどの、直近の実績が非常に重要です。40.50代であれば、その5年を含む、10年ほどの間での職務実績が、今後のあなたのシニアクラス、エグゼクティブクラスとしての活躍を類推する重要情報として詳細に確認されることになります。

社長向けの職務経歴書としては、「しっかりと読める」ということが非常に重要なのです。抽象的な項目ではなく、いつどのようなことをやったのか。それはどんな背景があり、どのような取り組みがされ、どんな結果が出たのかということを具体的な事実ベースでしっかりと読み、理解したいのです。

具体的な職歴や取り組み、実績をしっかり読みたいということと同時に、社長は職務経歴書の記載から、その人の「思考力」と「センス」を見ています。

分かりやすいレジュメを書く人は、業務上の資料も分かりやすく、戦略的に表現されているレジュメを書ける人は、業務上も戦略的に動きます。

リストなどの資料を作成させると、その人のビジネスセンスが一目瞭然です。構成要素、見やすさ、資料の理解の流れ、必要な説明、あるいは単純に見た目の美しさやセンスなどから、ビジネスセンスがうかがえます。できない人の資料は不備項目が多く、見た目も汚いです。できる人の資料は分かりやすく、シンプルで美しいですね。

つまり、職務経歴書の記載のされ方からも、あなたのビジネスセンスは社長に伝わってしまうのです。読み手は百戦錬磨の経営者です。

一般的に思われている以上に、ミドルシニアの転職における職務経歴書の情報は重要です。ここに記載した内容が、書類選考結果を大きく左右し、そればかりではなく最終選考から入社に至るまで終始ついて回るのです。ぜひ細心の留意でしっかりと記述してください。

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丁寧すぎる振る舞いは、あなたを魅力的に見せない

当然、礼節は不可欠ですが、そのうえで、優秀な人、評価の高い人は、目上の人ともフランクな会話を自然とできます。妙に慇懃(いんぎん)無礼な人は、面接で丁寧に話そうとしているのだとは思いますが、大概、社長面接では人物評価が低く、落ちます。これも、ミドルシニアのあなたのリーダー、エグゼクティブとしての風格や今後の伸びしろを見られているのです。

文章もそうですが、会話においても、妙にかしこまりすぎている人というのは、相手との距離感を詰めることができません。別に、常に経営者などの目上の人といつも対等に話せということではありませんが、どのような立場であっても、相手の懐に入れるコミュニケーション力や関係性構築力を持っているのか否かは、あなたの雇用される力、抜擢される力、キーパーソンに信頼される力に大きく影響を及ぼします。

このあたりは、なかなか文章だけでは伝えにくい部分もありますが、皆さんも周囲を見渡して、「ああ、あの人、自然体で感じ良いなぁ」「わかりやすい話し方、前向きに感じられる話し方で、また会いたくなるなぁ」などと感じる人がいると思います。ぜひ、そういう人の話し方をベンチマークにしてください。

テクニック的な点をひとつ述べると、「でございます」的な表現を、丁寧だと思って使っている人は、年配者だけでなく、若手にも多いですが、これは「です」のほうが良いです。もし使っている人は今日から変えてみてください。ぐんと、スマートな印象が上がります。

社長向きの対面姿勢は、「慇懃無礼NG」「ナルシストNG」「貧相NG」です。自然体、フランク、未来志向、明るくツキ良くで行きましょう。

社長に必ず印象づけたい「2点」

面接という限られた場面で、ミドルシニアのあなたが社長に伝えるべきことは何か。ポイントを絞れば、次の2つについてだけは、ぜひ、しっかりと伝えるように努めてください。

  • あなたがリーダーシップを発揮した場面
  • あなたがオーナーシップ(自分事として当事者意識を持って課題に向き合う姿勢)を発揮した場面

この2つをしっかりと話せる人。それを通じて、あなたの仕事上の情熱、思い、考え、行動力が伝わって来る人。そして何よりも目の前の社長に対する興味・関心の強さと共感・共鳴を表現できる人。こうした人を、社長は、頼もしい、信頼できる参謀だと評価します。

比較的組織サイズの大きな企業の経営者であれば、面接は限られた時間となることが多いので、今回ご紹介したことを踏まえて、明確に端的にあなたの魅力を伝えきりたいものです。またベンチャーや中小企業の場合、社長自らがかなり時間を投資して面接・面談を実施することが多く(それほど、自社の中堅・幹部採用が経営にとっての重要度が高いということです)、会食などでじっくりお互いを見極めるための時間を作ってくださることも多いでしょう。

こうした社長面接のチャンスは、たとえ最終的にあなたとその会社のご縁がなかったとしても、これからの社会人人生にとって非常に貴重な刺激と学びを得るチャンスです。ぜひ、物おじせず、積極的に場に臨みましょう。

井上和幸

 経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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