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早期退職前に自己点検 転職アピールポイントの勘違い

ミドル世代専門転職コンサルタント 黒田真行

40代で転職して、新しい仕事に就く人は珍しくなくなった。写真はイメージ =PIXTA

富士通2850人、ジャパンディスプレイ1200人、東芝1060人など、上場企業の早期退職者が急増し、2019年1~6月の半年間で8000人に及ぶというニュースが東京商工リサーチから発表されました。しかもたった半年で、昨年1年間の2倍というハイペースだそうです。人生100年時代といわれるなか、40代で折り返し、セカンドキャリアに挑むことが当たり前になる状況が現実味を帯びつつあります。自分のキャリアをどう設計するべきかについて、前回とは別の角度から探ってみたいと思います。

まずは過去キャリアの棚おろし 気を付けたいポイントは?

40代以上の転職希望者に会うと、特徴的な共通点に気づきます。下記の会話の登場人物のプロフィルは架空のものですが、相談内容の流れは、その共通点に基づいて再現してみました。

「私は●●商事で、海外との貿易ビジネスに20年以上、従事してきました。自他共に認める貿易営業のスペシャリストです。米国、EUなどで海外駐在も15年経験しており、今も英語力は鍛えております。自分自身の強みとしては、海外駐在経験で身に着けた、高い対外国人コミュニケーション能力、交渉・営業力、海外法人の社長・副社長経験を通じてのマネジメント力、EU子会社における新規事業開発経験などがあります。これらの経験を生かして、あと15年貢献できる場所を探して転職活動をしております。現在の年収は1400万円ですが、すでに40代後半という年齢ですから、3割程度のダウンまでは覚悟しております。できるだけ経験を生かしたいので、同業の商社か、あるいかメーカーで海外に関わる経営企画などのポジションがあれば、まだまだ頑張れると思っています」

ほとんどの人は、社会人として、ビジネスパーソンとして第一線で長く活躍し、経験も実績も豊富で、人間的にも素晴らしい魅力を備えた人たちです。上記のコメントを見ても、これまでのプロフィルや、今後やっていきたいことが理路整然と話されていることはわかると思います。

しかし、ビジネスの場や、社内異動時の自己紹介とは違って、転職活動の際の自己紹介や仕事選びの基準としては、いくつかのリスクをはらんでいます。いったいどこにそんな課題が潜んでいるのでしょうか?

上記のような構文を使って、自己紹介や希望条件を伝達してしまうと、下記の4つのデメリットを想起させてしまう恐れがあります。

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成果と関与度を強調 自分なりの創意工夫と再現性

・属性主義

自分自身の個人としてのキャリアが、勤務先の会社・部署などの影響力と同化・依存してしまっているかのように見えてしまうリスク。

・役職・ポジションの重視

自分のキャリアが部長、執行役員、社長などの役職名に依存しているように見えてしまうリスク。

・過去の担当業務の説明

自分が過去担当した業務の説明で終わってしまい、成果を十分に説明できなくなるリスク。

・客観化の不足

セカンドキャリアの転職市場での相場観の情報獲得が不足しているリスク。自分の価値づけや、希望する業務、そこに支払われる報酬の獲得難易度などの情報を理解していなければ、セカンドキャリアを構築するための作戦立案がスタートできなくなる。

転職活動で、最初に必要な作業が、履歴書や職務経歴書の作成という、過去情報の整理になるせいもあって、余計に上記のリスクに陥る人が増えやすくなります。過去の属性や役職、どんな業務を担当してきたのかという情報は、その人の価値や評価を表す重要な情報なのですが、それだけで完結してしまうと、誤解を生じさせる懸念があります。特に、素のままの過去情報は、その企業の内輪だけで通用する社内価値のものさしがあって理解できるものも多く、会社をまたぐ転職活動に使うには不十分かつ不適切な表現になりかねないからです。

では、上記と同じ属性、経験を持った人が、社外の人にも通じる表現をするにはどうすればいいのでしょうか?

これまでに満足度の高い転職を実現し、受け入れ先でも長く活躍している人たちの共通点をまとめてみました。

・成果結果主義(Before/Afterの明示)

どんな会社や組織、部署であったかには関係なく、自分がどのような結果・成果を生み出してきたのかを、数字を織り込み、時系列を整理して具体的に説明しています。自分が担当する前の状態と、その後の「差分(さぶん)」が相手に伝わるかどうか、がポイントになるようです。

・貢献度・関与度の証明

組織が大きくなればなるほど、自分一人で結果を生み出せるプロジェクトはほとんどありません。生み出した結果に対しての、自分の役回りや貢献度合いを客観的に説明できるかどうかというポイントです。

・創意工夫ポイントの開示

結果を生み出すために、予期せぬ障害やトラブルがあった際、自分がどのような創意工夫を発揮して、その局面を乗り切ることができたのか、その成果とともにわかりやすく説明できるかどうかというのもポイントの一つかもしれません。

・再現性の抽出

過去の経歴を上記のように整理することで、自分のキャリアのどの部分に再現性があり、応募先企業の事業を伸長させるために、どのようなファンクションでどう価値創出することができそうなのかを表現しやすくなります。

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印象づけたいのは「過去の実績」より「未来への貢献」

キャリアのプレゼンテーションは、説明を受ける企業から見た場合、「その人を知るために過去を説明してもらうもの」ではなく、自社に迎え入れた場合に「その人が自社の未来にどう貢献してくれそうな人かを判断するためのもの」だということです。また、上記のような観点で整理をすることによって、自分自身が気付かなかった強みやキャリアの方向性(業界や職種)を発見するヒントにもなりえます。

人生100年時代、後半も自分らしく、楽しく働いていこうというメッセージは増えてきていますが、「言うは易し、行うは難し」です。かなり思い切った過去との決別、気持ちの上でのゼロリセットをした人ほど、うまくスタートを切れるケースが多いようです。

就職してからの数十年に、自分のアタマの中に積もった既成概念という垢を落として、自分の中にある価値の本質を確認し、また、人材市場が求めている能力や経験の本質を探りながら、活躍できる場所を探していただけたらと思います。本質的なるものは、以下の性質で表現されることがあります。

・汎用性がある(応用がきくものは幅広い)

・普遍性がある(時が経っても変わらないことは価値がある)

・明快性がある(シンプルであることが強い)

本質性が高いものを発見するには、「長期的目線でモノを見る」「多面的な角度でモノを見る」「根本的な視点でモノを見る」という視点が役に立つそうです。抽象的な表現ではありますが、これらを意識するだけで、「木を見て森を見ず」のような状況を回避できるなら、それに越したことはありません。与えられた能力を生かして、長く、生き生きと働き続けるために、少しでも多くの自分の中の可能性を引っ張り出してほしいと思います。

黒田真行

 ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。14年ルーセントドアーズを設立。著書に本連載を書籍化した「転職に向いている人 転職してはいけない人」など。
「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/

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