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転職成功、最後にもの言う人間力 趣味・学びで磨く

エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

初めての経験で意外な「自分」を発見することもある。 写真はイメージ =PIXTA

夏休みシーズンを皆さんはどんなふうに過ごしますか。今回は、転職成功やキャリアアップにつながる「人間力」の磨き方に注目してみましょう。採用される人、あるいは仕事で成功を収める人には、高度なビジネス経験やスキルだけでない、人間的な魅力が備わっているものです。私がお会いしたビジネスパーソンたちの例を交えてご紹介します。

私は日々、多くのエグゼクティブビジネスパーソンにお会いしていますが、彼らには、ある共通点が見られます。「仕事だけ」でなく、「幅広さ」「奥行き」を感じさせるのです。

仕事の話ばかりではなく、スポーツやカルチャーなどの話題も豊富。しかも、観たり聴いたりしたことだけでなく、自ら実体験をしています。

仕事以外の趣味や活動で感性を磨き、その経験から学びも得ている人は、人間力が養われ、人をひきつけます。「この人と一緒にいると、面白そうだ」と、多くの人が集まってきます。その結果、仕事においての仲間や協力者を得て、プロジェクトの成功につながっていると感じます。

もちろん、人材採用においても、経験・スキルだけでなく、人間力が注目されます。どんなに優れたキャリアを持つ方でも、面接官が「一緒に働きたいか」という観点で見て、「不採用」の結論を出すのはよくあることです。

意外な「ギャップ」の魅力が人をひきつける

これは私がある会社を訪問した際に会った、あるビジネスパーソンの例です。その人の見た目の印象は、いかにも「几帳面」「真面目」な感じ。ともすると堅苦しさを感じさせるようなタイプです。ところが、同僚の皆さんが彼に接する態度を見ていると、とても慕われているのがわかりました。

後で同僚の人から聞いた話では、プライベートの彼は「ロックバンドのボーカル」という顔を持っていました。ライブでは革のファッションに身を包み、職場での控えめな様子からは想像もできない、エネルギッシュなパフォーマンスを見せるのだそうです。そのステージを見た同僚たちは、普段の姿とのギャップに魅了され、彼はすっかり人気者になったのだとか。

このような「ギャップ」は、人から興味を持たれたり、奥深さを感じさせたりと、魅力的に映るものです。実際、履歴書の趣味欄に、顔写真や職歴から抱くイメージとはかけ離れた趣味が記載されていて、人事担当者が「面白そうな人。一度会ってみたい」と面接へ進んだケースだってあるのです。

プライベートでは、ビジネスで見せているのとはまったく別の顔を持つ。それも一つのキャリア戦略になり得ると思います。

また、趣味の活動がビジネススキルアップにつながることもあります。これは、「管理部門マネジャー」のポジションで活躍している方からお聞きした話です。彼の趣味は「フルート演奏」。所属する音楽サークルでは、課題曲を決めて各自練習し、2週に1回ほどのペースで集まって音合わせをするのだそうです。

その人が言うには、「個々の演奏スキルが高ければ、良く仕上がるわけではない。個々が強く主張してもいけない。それぞれのメンバーが、全体のパフォーマンスの最適化に向けて、自分の役割を果たしてこそ、いいハーモニーができる」のだそうです。それを聞いて、「この人はチームのマネジメントもうまくこなしているのだろうな」と想像しました。

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「話題豊富になる」だけではない 教養を磨く効果

あるベンチャー企業の経営幹部に、大学時代のバスケ部の先輩の後任として、出身高校の監督に就任した人がいました。副業である「バスケの監督」としては、週末はフルで練習や試合に参加し、平日も時間を見つけて部活動に立ち寄る日々。さらに多忙となり、時間のやりくりに非常に悩んだのですが、それにより「いかに効率的に仕事をするか」を考えざるを得なくなったそうです。

そこでRPA(Robotic Process Automation)の導入やBPR(Business Process Re-engineering)の推進などを独学で学び、自社に取り入れることを決断。会社全体の効率につながった、という話もあります。効率化が実現しただけでなく、「仕事では得られないような感動や選手たちの成長を目の当たりにして、非常に刺激をもらっている、モチベーションアップにもつながっている」と言っていました。

カルチャーやスポーツなどのサークル活動やコミュニティーでは、会社にはいないような属性の人々と接し、職場とは全く異なる役割を担う機会があります。そこで気づきを得て、ビジネスやマネジメントに生かしている人もいます。

私自身も20代の頃から、いろいろなお稽古事や体験にチャレンジしてきました。好奇心の強さもありますが、仕事柄、経営者を中心とした多くの人に会うので、幅広い話題に対応できるようになりたいと思ったからです。

私が習ったり体験したりしたのは、陶芸、生け花、フラワーアレンジメント、絵画、料理、ゴルフ、テニスなど。トレッキングが趣味の人に出会い、「連れて行ってください」とお願いして同行したこともあります。演劇やコンサート、自己啓発セミナー、国内外の旅行にも出かけました。そうした活動の結果、「話題が豊富になる」というだけでなく、次のような効果も得られました。

・多様な価値観に触れ、受け入れられるようになった

それぞれのジャンルで、それを生業にしている人、長年続けている人に出会いました。そうした人たちと接することで、さまざまな世界観、価値観、表現方法があることを学び、それを受け入れる姿勢が身に付きました。人それぞれ、その人に合った生き方があるのだと、理屈ではなく心と本能で理解することができたのです。これはビジネスで出会う、様々な人と関係を築くのにも、後輩や部下のマネジメントにも生かせました。

・自分自身の異なる一面を発見できた

「私には向いていないかも」と思いつつトライしてみたことで、思いがけない発見もありました。それは「陶芸」。私は人とおしゃべりしたり、あちこち動き回ったりすることが好きなので、陶芸のように一人で黙々と、座って集中する作業には苦手意識を持っていました。ところでやってみると、「無心になる」ことでリフレッシュでき、こんな時間を持つのもいいな、と思えたのです。

自分が好きなテーマだけでなく、ときにはそれまで興味がなかったテーマに取り組んでみるのもいいと思います。「意外と楽しめる」「意外と上手にできる」など、自分の新しい一面を発見できるかもしれません。

・「一流のプロ」を目指す意識が生まれた

様々なジャンルで「一流のプロ」の仕事に接し、人の期待値を超える仕事は「感動」さえ生む力があると実感しました。そこで私も自分のフィールドにおいて、人に感動を与えるプロフェッショナルでいたい、という想いが強くなり、期待値以上のサービスを提供しようと決意したのです。それを意識して日々を過ごした結果、実績を積み上げることができたのではないかと思います。

このように、仕事とは直接関わりがないようなテーマに目を向け、体験してみることはとても大事だと思います。仕事とはまた違った成長があり、人として自信を持つこともできます。ぜひ時間とお金を投資してみてはいかがでしょうか。

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趣味や勉強を「3日坊主」にしないためには

さて、新しい趣味の活動を始めるにしても、「自分はいつも3日坊主だから」と一歩を踏み出せない人も多いのではないでしょうか。そこで、私の実体験から「続けるコツ」を紹介します。これは趣味の活動だけでなく、英語や専門スキルなど、仕事関連の勉強をするにあたっても有効かと思います。

まず、続かない人にありがちなのは、「1日5分から始めよう」という発想。「電車移動中やランチタイムなど、隙間時間を利用して勉強しよう」というのも同様です。負担のないペースでコツコツやっていこうと思っても、なかなか続かないものですよね。

そこで、「スタート時点でしっかりエンジンに点火する」ということを意識してみてください。始めたばかりの時期に集中してパワーをかけることにより、早い段階で勉強を「習慣化」するのです。

まずは「始め方」を工夫してみましょう。「来週月曜から少しずつ始める」ではなく、「連休を費やす」からスタートするのです。

例えば、夏休みの10日間すべて、あるいは半分の5日間でも、勉強の時間にあてたとします。すると、お休みが明けた後も、「貴重な休日を費やしたのに、やめるなんてもったいない」と思うのではないでしょうか。

教材を購入するなど、高額投資をするのも有効です。「かけたお金と時間をムダにしたくない」と、モチベーションを維持できるでしょう。

スクールやセミナーを活用する場合も「集中受講」からスタートします。平日の1~2時間から始めるのではなく、休日の丸1日コースから始めるのです。

スタート時点でまとまった時間・期間を費やすことには、「かけた時間がもったいないから、やめにくい」というほかにも、効果があります。それは「ある程度のレベルまで早く達する」ということです。

私自身は、ゴルフのレッスンでそれを実感しました。十数年前、初めてゴルフにチャレンジしたときは、月1~2回レッスンに通いましたが、急用が入るなどして休むことも。間が空くと、前に習ったことは忘れていて一からやり直し。上達しないままやめてしまいました。

そして最近、息子がゴルフ部に入部したのを機に、ゴルフに再チャレンジ。今回は前のような挫折をしないよう、学び方を変えました。「連休」を利用し、集中的にゴルフスクールにレッスン予約を入れてスタートしたのです。

私は、学びには4つのステップがあると考えています。

(1)何ができていないのか、何を質問すればいいのかすらわからない

(2)頭ではある程度理解するが、体がついてこない

(3)意識すればできるようになる

(4)無意識でもできるようになる

「無意識でもできるようになる」というのは、「習慣になる」ということです。習慣化してしまえば、ごく自然に継続することができます。そのレベルに早く到達するためにも、まとまった時間・期間の学習からスタートすることをお勧めします。夏の長期休暇を有効活用してはいかがでしょうか。

森本千賀子

 morich代表取締役 兼 All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「のぼりつめる男 課長どまりの男」(サンマーク出版)ほか、著書多数。

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