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早期退職勧奨をチャンスに 本来の「仕事」を見つける

エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

早期退職は自分の能力や願望を再発見する機会にもなり得る。写真はイメージ=PIXTA

企業が募集する「早期希望退職」というと、ネガティブにとらえられがちです。でも、これを機に別のキャリアや本当にやりたかったことを見つけ、意気揚々と新たなステージに移っていく人もいます。早期退職の募集を行う大手企業が増えるなか、早期退職からの転職成功事例を紹介します。

東京商工リサーチから2019年上半期(1~6月)の上場企業における「早期・希望退職」の実施状況に関する調査結果が発表されました。それによると、19年上半期に希望・早期退職者の募集実施を公表したのは17社。その募集人数合計は、すでに18年の年間募集人数の約2倍に達しているそうです。

年齢条件付きでの募集は、45歳以上が10社で最多。40歳以上が2社、35歳以上が1社と、募集年齢の若齢化傾向が見られるとのことです。

退職者募集の理由は業績不振に起因するものが多いようです。ただ、業績が堅調な企業でも、先を見据えて人員削減に踏み切る動きが出てきているようです。

こうした動向に、「人ごとではない」と感じる人も多いかと思います。「早期退職」という選択肢が視野に入ったとき、どう向き合い、どう行動すればいいのでしょうか。

過剰な悲観は不要 キャリア再設計の好機に

自分が早期退職募集の対象となり、会社から応募へと背中を押されたとしたら、やはり気分が落ち込む人が大半だと思います。「自分は必要とされていない」と、存在価値を否定されたように感じるかもしれません。

ですが、悲観的になることはありません。私は転職エージェントとして、早期退職制度を機に転職した人たちと数多く接していますが、その姿を見ていると、「早期退職」は必ずしもネガティブなことばかりではなく、チャンスにもなり得ると思っています。早期退職という転機をプラスに変えた人たちの事例を以下に紹介しましょう。

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学生時代に志した道へ 40代後半でキャリアチェンジ

サービス企業で営業マネジャーを務めていたAさん(40代後半)。一定レベルの業績をあげ、評価を得ていたものの、上司との折り合いがよくなかったためか、早期退職の勧めを受けてしまいました。

納得はいかないながらも、これを機に初めて「転職」という選択肢を考えたAさんは、やがて「それもありだ」という意識に変わっていきました。「考えてみると、今いる業界は今後大きな成長は見込めないだろう。最後の一花を咲かせるなら、この会社である必要はない」と考えを変えました。

そして早期退職制度への応募を決意。次のキャリアを探るため、これまでの経験を棚卸しし、自分の強み、志向を整理してみました。Aさんの強みとして浮かび上がったのは、「折衝力」「形がないものの価値を相手に伝える力」「リレーション構築力」などです。

さらに、「やりたいこと」を明確にするため、過去の経験までさかのぼってみました。すると、学生時代は教員免許を取得し、教職を目指した時期もあったとのこと。子供たちに教えることにやりがいを感じ、地域の子供向けスポーツ教室でコーチも務めていたそうです。

この「強み」と「志向」を踏まえ、私から紹介した求人は、「学校法人の広報担当」というポジションでした。少子化が進む中、大学や専門学校などでは、学生獲得を目指し、さまざまな施策に取り組んでいます。広報担当は、高校生たちが「将来なりたい自分像」を実現する手段として、自校のカリキュラムや校風などのプレゼンテーションを行っていく役割を担います。

Aさんは、無形サービスを商材とするソリューション営業の経験者。マネジャーとして、若手とコミュニケーションをとり、育成も手がけてきました。それらの経験が、このポジションで生かせると判断したのです。

Aさんは「こんな仕事があるとは」「もともと目標としていた『教育』に携われる」と興味を持ち、応募。面接を受ける中で、自分のスキルが生かせること、自分の志向にマッチしていることを確信し、転職に至りました。

「会社への貢献」を実感できるポジションへ 中小企業という選択肢

もう一人は、大手メーカーで生産部門長を務めていたBさん(50代)。国内工場の閉鎖に伴い、やむを得ず早期退職しました。

Bさんが新たなステージとして選んだのは、中小のメーカーです。そのメーカーはちょうど世代交代を迎え、30代の2代目社長が父から経営を引き継いだタイミングでした。

新社長は他社で営業職としての経験を積んでいましたが、技術開発や生産現場の経験はありません。そして、父の代を支えた技術者も高齢により退職が迫っていました。そこで、Bさんが生産部門を担う後継者として、また、新社長のパートナーとして採用したのです。

Bさんは、若くて熱意がある新社長を支え、次世代の人材育成に携わることにやりがいを感じ、オファーを承諾しました。また、前職の大手企業では一部門の運営を担う立場でしたが、中小企業では自分の働きが会社の成長にダイレクトに貢献できるという点にも、魅力を感じたようです。

そして、この転職に伴い、首都圏から地方都市へ移住。アウトドアレジャーで自然との触れ合いも楽しんでいるとのことでした。

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早期退職からの転職活動は「スピード」が重要

AさんもBさんも、新卒入社以来二十数年、転職を真剣に考えたことはありませんでした。しかし、早期退職というきっかけにより、自分では想像していなかったキャリアに出合うに至ったのです。

ほかにも、早期退職という選択肢を目の前に突き付けられたことに対し、「新しい可能性へ、背中を押してもらった」と語る人がいます。最初は不本意であっても、気持ちを切り替えて前向きにチャレンジすることで、新しいキャリアが開ける可能性があるのです。

AさんとBさんには、ほかにも「成功のポイント」として共通していることがあります。それは「短期決戦」で転職活動に臨んだこと。早期退職を決めるとすぐに転職活動を開始したことにより、早い段階で転職を実現できました。

早期退職制度で退職した後、のんびりと構えている人は少なくありません。長年頑張ってきたのですから、「しばらく骨休めしよう」「長期旅行にでも行こう」と思うのは自然なこと。決して否定するつもりはありません。

しかし、ブランクが長引くほど、選考ではマイナスに傾いてしまいます。情報収集だけでも、早めに開始することをお勧めします。

また、同じ会社から同時期に大量の退職者が出た場合、同じようなキャリアの人たちが転職のライバルとなります。この場合、「早く活動した人」が早期に採用され、遅れて動いた人は「この会社出身の人はすでに何人か採用したので」と門戸を閉じられてしまうこともよくあるのです。

なお、「あのとき、早期退職制度に応募しておけばよかった」と悔やむ声を聞くこともあります。「いずれまた募集があるだろう」と、第1次募集を見送った結果、その次のタイミングがなかなか来ない。1次募集が行われた時期なら有利な転職ができたのに、次の募集タイミングでは市場価値が落ちてしまっていた――つまりは「売り時」を逃してしまうこともあります。

会社の動きも、転職市場の動きも、予測はなかなか難しいもの。しかし、「チャンスを逃した」と後悔しないためにも、常に感度高く情報にアンテナを張っておくことをお勧めします。

森本千賀子

morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。『マンガでわかる 成功する転職』(池田書店)ほか、著書多数。

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