1. NIKKEI
  2. 日経HR

EXECUTIVE エグゼクティブ転職

次世代リーダーのための
ヘッドハンティング転職サイト

出典:NIKKEI STYLE 出世ナビ 次世代リーダーの転職学

転職の理想的タイミング 5歳刻みの「常識」は本当?

経営者JP社長 井上和幸

上司との人間関係が理由の「不満転職」は癖になりやすい。写真はイメージ =PIXTA

40代、50代の転職者が急増していることはこの連載でもご紹介してきている通りです。活況を呈している40代、50代の転職ですが、その転職どきについて間違えているケースが少なくありません。では、どんなタイミングであれば転職してもよいのでしょう。逆に、どんなタイミングでは転職すべきでないのでしょう?

当社(経営者JP)も加盟している人材紹介会社の業界団体、日本人材紹介事業協会(人材協)が半期ごとに公表している転職紹介人数によれば、2018年度下期の転職紹介人数は3万8316人、前年同期比23.3%の増加でした(2018年度上期は21.4%増)。年齢別で見ますと、25歳以下が7245人、26~30歳が1万3401人、31~35歳8112人、36~40歳4530人、41歳以上5028人ですが、このうち前年同期比での増加率が最も高いのが41歳以上で40.4%なのです(次いで36~40歳が23.9%。25歳以下23.3%、26~30歳と31~35歳は同率で19.8%です)。

このデータは人材紹介大手3社(ジェイエイシーリクルートメント、パーソルキャリア、リクルートキャリア)の転職紹介人数総計の公表値ですので、我々のようなブティック型のエグゼクティブサーチファームやその他中堅中小の人材紹介会社の実績値は入っていません。しかしこの3社が占める転職紹介市場のシェアはおよそ6割ほどと見られていますので、マーケットの状況を示すデータとしてはおよそ正しいと見て間違いないでしょう。

45歳、50歳は転職の節目になり得るのか

「来年50歳を迎えるので」「転職可能なのは45歳までと聞きますので」――。私がここ最近お会いした転職相談者の皆さんが、転職を考える理由に挙げたもののうち、年齢を節目とした発言は非常に多くありました。年齢の節目で転職を考えることは、正しいのでしょうか。それとも間違っているのでしょうか。

40歳、45歳、50歳、55歳。人間の心理として、5刻みで節目を考える思考パターンを持つ人は非常に多いですよね。1年を西暦や自分の所属する会社の会計年度でみて、区切り・節目として考える。あるいは1カ月、1週間単位で行動する。業務上での新たな取り組みや自己学習などについて、本当は今日から、明日から始めればいいのに、なぜか私たちは「よし、来週からやろう」「来月から始めるぞ!」としがちです。

そう、こうした数字での区切り、節目には本来、全く意味はありません。年齢ならなおさらです。「来年50歳を迎えるので」転職、ではなく、「これまで数年越しで取り組んできたプロジェクトが近々完了する。その次について社内でも幾つかのオプションがあるのだが、自分として次にチャレンジしてみたいテーマが見えてきた。それをかなえるためには、今の会社の中の機会では難しそうだ。ついては外の場にそのチャンスを求めたい」「立ち上げた事業が無事に巡航モードに乗った。ついては、また新しい事業の立ち上げに取り組んでみたい」など、自分の役割が区切り・節目を迎えたときに転職を考えることが正しいタイミングだと思われます。

今、エグゼクティブとしての市場価値が知りたい。

わずか5分でわかる、あなたのエグゼクティブ力
エグゼクティブ力診断

採用側が意外に重視する「年齢の節目」

この「年齢刻み問題」については、ここで話を終えてもよいのですが、しかし、採用する側も同じ人間というところに、この年齢刻み問題の妙があります。転職する側が40歳、45歳、50歳、55歳と、5刻みで節目を考えるように、採用する側の経営者や部門責任者、人事もまた同じように考えるわけです。

繰り返しますが、5刻み自体には本質的意味はありません。しかし、採用する側の意識、イメージの「年齢節目」としては、「同じ職務レベルの方なら45歳を超えているよりも、手前のほうが良いなぁ」「うーん、50歳を超えていると、ちょっとねぇ。48歳くらいの人がいいですね」というような採用意向を、私たちも日々、クライアント企業から聞いています。選考に際しても面接結果のフィードバックコメントでよく登場します。

ミドルやシニア世代の採用時に、採用側の経営者や企業と我々エージェントがよく話をするのが、そのポジションで任に就いた際に、着任後どれくらいの期間でその人が全体を掌握して自らのテーマ設定、課題設定をし、次のステージの実行に移ってくれそうか、というようなことです。ラーニングに2~3年を要するケースは、より上位の職責になればなるほどありますので、「定年年齢マイナス現年齢」が何年あるのか。それもこの年齢刻みと相関することがあります。「このポジションなら最低10年はやってほしい」などの理由から、採用年齢を50歳未満にしたい、45歳前後のほうが望ましい、などとするわけです。

また、大手企業になりますと、多くが役職定年制を導入していますから、実際問題、55歳以上を新規で役職者に配置するわけにはいかないのです。プロパー社員を役職定年、早期退職勧奨などしているのに、いくら力がある人でも外部から同世代を採用するのははばかられるというような事情があるケースも少なくありません。

このように、実は採用する側の事情、そこから発生する心情によって「年齢刻み問題」は存在することを、ぜひ転職する側の読者の皆さんは心に留めて、応募先企業の情報や状況をしっかり確認しつつ応募や面接を進めてほしいと思います。

「意に沿わない異動があった」の妥当性

「長らく人事畑で仕事をしてきたのですが、半年前に営業部に異動になったんです。僕としては、人事マンとして今後もキャリアを積んでいきたいので転職を考えています」。意に沿わない異動があったという読者も少なくないかもしれませんね。

ミドルやシニア世代の皆さんにとっては、キャリアの専門性、連続性を確保しにいくことは悪くない筋です。日本もようやく従来の「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」を前提とするように変化してきたと、HR(ヒューマンリソース)関連のニュースや書籍でいわれるようになりました。

「メンバーシップ型」とは、特定の職種を前提としない総合職採用とその後のジョブローテーションをしていく、日本の典型的な雇用パターンだといわれてきました。対する「ジョブ型」とは、学卒時点から職種専門領域を特定し、採用時からどの職種で採用するのか、入社後キャリアパスを積むのか、ルートが決まっている雇用パターンで、欧米は以前からこのスタイルです。

私は個人的意見としては、若手から中堅~30すぎくらいまでは、よほど特定のハマりどころが自他共に見えている人以外は、いろいろな職務を経験してみたほうがよいと考えています。ただ、それ以降はおおむね「ジョブ型」に近く、その人の職務の本筋や当人にとってのライフワークテーマが定まっての配属・異動がされることが望ましいと思います。よって私は、この「自分の専門畑、本筋に戻したい」転職は全力で応援しますというスタンスです。

今、エグゼクティブとしての市場価値が知りたい。

わずか5分でわかる、あなたのエグゼクティブ力
エグゼクティブ力診断

「意に沿わない異動」の真の理由を確認する

ところで、現社における、その意に沿わない異動の原因はなんだったのでしょう? それによっては「ちょっと待って」です。

例えば、自分の専門畑と思ってやってきたこの数年来の職種があるとして、その期間中の成果はどうでしたか? 営業マネジャーとしてチームを5年率いたが、その間、チーム業績達成率が平均80%以下で一度も100%以上達成をできなかった。経理財務のマネジメントとして7年が経過したが、メンバー時代のルーティンを回し続けているだけで、なんらの業務改善・改革の動きをされていない、などは評価されにくい結果と映ります。

厳しい話ですが、現社から「これはこのまま続けさせても難しいな」「別の役割を探させたほうがよさそうだ」という「職種の不適合」を突きつけられての異動であった場合、いくら転職で元の職種に戻そうとしても、それはハッピーなこととは言い難いでしょう。それなりの人がしっかり経歴実績を見ると、そこはバレてしまいますから、応募先で採用されることも難しいと思われます。

この場合は転職の前に、まずしっかり今の会社で「別の道」への少なくとも兆し、取っ掛かりを見いだすまで奮闘しましょう。強みがない、不明瞭なままでの転職ほど危険なことはありません。

上司、同僚との意見の衝突や人間関係的な折り合いの悪さからの転職を検討される人も、悲しいかな、非常に多いです。「何をやるか」と同じくらい「誰とやるか」は大事です。カルチャーフィットは我々も転職支援で非常に注視するところです。

ですから、パワハラや納得しがたい上司の判断環境などから離脱することも、私は積極的に取り組んだほうがよいとお勧めします。自分らしくハッピーに働けない環境に居続けることほど不幸なことはありませんから。

ただ、念のためご確認ください。第三者的な視点で俯瞰(ふかん)してみて、あなたの意見に十分な納得性、転職応募先企業のトップなどが聞いて「なるほど」と腑に落ちる理由があるでしょうか。そもそも現職で、まずしっかりその対立に向き合った上での結果と判断でしょうか。

怒りに任せた「不満転職」は繰り返しがち

これも「あるある」なのですが、上司との折り合い、会社の判断・方針への違和感を訴える人の話を整理してみると、「それは社長は、ダメだと言いますよね」「それは事業のことを考えても、通らない意見じゃないですか」という、転職しようとしている当人側に非があるケースも、実は結構多いです。

こういう人が、そのまま転職すると、次の会社でもまた同じような理由で上司との折り合いや会社への違和感を訴え転職します。職歴を見れば、このタイプの人たちは、私からは分かりますし、正直、そのまま転職を支援することはためらわれます。

瞬間湯沸かし器のような感じで「転職だ!」と動く人もいますが、ここはいったん冷静になって、感情的に「幽体離脱」してみて、あなたと相手(上司、会社など)との双方の言い分を整理してみましょう。そのようにして再度見てみれば、今の会社や職場は、実は世にある数多(あまた)の会社や職場の中でも結構いい場、恵まれた環境かもしれませんよ。

私が転職を支援している理由は、「社外異動」こそを推奨、推進したいからです。プロジェクトを完了した、やり切った。ジョブローテーションの時期がやってきた。そうしたタイミングに検討する「社外異動」こそ理想の転職であり、「社外異動」時期こそが理想の転職タイミングだと思います。

40代、50代は、一方では介護問題やお子さんの社会人独り立ちなど、家族事情や環境の変化で転職を考えるタイミングも巡ってくる時期です。今がそうでなくとも、いざという時のために、自身の仕事の軸を棚卸ししておくことをぜひお勧めします。

井上和幸

 経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

今、エグゼクティブとしての市場価値が知りたい。

わずか5分でわかる、あなたのエグゼクティブ力
エグゼクティブ力診断

「次世代リーダーの転職学」をもっと読む

※NIKKEI STYLEのウェブサイトに移動します

おすすめコンテンツ
  • 10万人以上が受験「年収査定」無料査定を試してみる
おすすめ情報
  • 日経ビジネススクール

PAGE TOP

わずか5分でわかる、あなたの「エグゼクティブ力」
エグゼクティブ力診断テスト