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出典:NIKKEI STYLE 出世ナビ 次世代リーダーの転職学

アフターデジタルに乗れるか 2020年代転職の3条件

経営者JP社長 井上和幸

サブスクリプションの商品・サービスはアイデア次第でさらに広がる余地がある

2020年代が幕を開けました。これからの10年のスタートをどうとらえるかは、ミドル・シニア世代の皆さんにとっても非常に重要なことと思います。今回は、少し大きなテーマとなりますが、20年代に求められる働き方、ニーズが高まるスキルやキャリアを予測してみたいと思います。

サブスク時代に求められるカスタマーサクセス人材

テーマその1は「『売り切り型』人材から、『サブスク型』人材へ」です。様々な領域で私たちの利用する商品やサービスが、1回1回の買い取り型(提供側視点で言えば「売り切り型」)ではなく、一定の利用料を支払うことでの継続利用や使い放題形態へと大きく変化しています。代表例はNetfrixやアマゾンプライム、あるいはマイクロソフトの「Office365」、多くの法人利用のクラウドサービス(AWSなど)から、アパレル、カーシェアリング、飲食など。すべてがうまくいくか、スイッチされるかはまだ不透明なものも少なくありませんが、多くの業界に継続利用型サービスが広がりつつあります。

これらはサブスクリプション(定額課金・利用)、リカーリング(継続支払い契約)と呼ばれます。皆さんもこれらの言葉をよく目に耳にするようになっていると思います。所属企業自体がこうしたビジネスモデルに参入されたり、サービス形態をチェンジしたりしているかもしれません。

この「売り切り型」から「サブスク型」へのビジネスモデルチェンジは、事業や経営のスタイル変更のみならず、私たちの働き方の変化ももたらすものだと認識することが重要です。

ここで強調したいのは、「売り切り型」での成功ポイントと「サブスク型」での成功ポイントが異なるということです。「売り切り型」の勝ち筋は、いかに商品・サービスを魅力的にプレゼンテーションして購買・導入決裁の意思決定を顧客にしてもらうかです。そのために、購買前のマーケティングやソリューションセールス力に磨きを掛けることが重要で、ミドル・シニアであればそのノウハウやセンスを培ったリーダー人材が強く求められてきました。

しかし、「サブスク型」ビジネスへとかじを切っている各社が私たちエグゼクティブサーチ会社や人材エージェントに求め始めているのは、「カスタマーサクセス人材」です。

カスタマーサクセスとは、自社の商品やサービスを利用してくださっている人たちに、その商品やサービスをいかに有効活用し役立ててもらうかを提案・促進・サポートする業務のこと。これまでは「売れば終わり」「購入してもらえば勝ち」であったビジネススタイルが、「導入・購入してもらって初めてお取引がスタート」「その後いかに長く、継続利用していただけるかが勝負」にギアチェンジされているのです。

もちろん顧客開拓のマーケティングやセールスの重要性が今後なくなるわけではありませんが、「売れれば良い」という考え方のリーダーは、2020年代は厳しくなります。

逆にこれまではコストセンターのようにみられていたサポート部隊や、これまでにはなかった顧客支援を企画・推進できるリーダー人材へのニーズが急増しており、これが2020年代に圧倒的に重要度を増し雇用ニーズも増大する職種となることは間違いないでしょう。そこには顧客データを分析し、利用状況やステータスをとらえて、次にどのような提案や追加をサポートすべきかなどのアクションを導き出すデータアナリストのような職務も含まれます。

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アフターデジタルを前提に業務を変革できているか

テーマその2は「『O2O』人材から、『アフターデジタル(OMO、D2C)』人材へ」です。O2O(Online to Offline)とは、ネット上(オンライン)からリアルの場(オフライン)での行動へと促す施策やオンライン上での情報発信などによってオフラインでの購買行動に影響を与えるような施策のことを指します。

私たちは気が付けばデジタルとリアルの両方の世界を同列に重要なものとして生活し、ビジネスも行っています。皆さんも、オンラインとオフラインをどう組み合わせるかを前提に事業を考えて、業務を行っているでしょう。

しかし、2020年代はこれまでのようにリアル(オフライン)とデジタル(オンライン)を別のものとみてその接続を考えるのではなく、「常時接続」、つまり常にリアルとデジタルを必要に応じて縦横無尽に行き来するという前提での事業の考え方、仕事の進め方が求められるのです。

藤井保文氏、尾原和啓氏の共著「アフターデジタル」で提出され、広まりつつある「アフターデジタル」の世界を前提に活動できる人材が、2020年代のリーダー人材となります。

いまアメリカを中心に勝ち組となりつつあるのがD2C(Direct to Consumer、ソーシャルやデジタルを生かし、生産工程から販売までを一気通貫で行うメーカー)型のアパレルや消費財メーカーですが、それがさらにOMO(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインの垣根のないビジネススタイル)へと発展しつつあるといわれています。アマゾン・ドット・コムの一連の事業モデル(電子商取引と無人店舗アマゾン・ゴーなどの連携・融合サービス化)などが現時点での代表例だと思いますが、前掲書に紹介されている通り、この分野については中国企業がかなりアグレッシブに先頭を走っている印象があります。

20年代、日本も負けているわけではないと思います。実際に私が担当しているクライアントでも、大手流通企業などでこのスタイルへの変革をダイナミックに推し進めている姿を目にします。私たちの生活や購買行動は、日に日にアフターデジタル化していくことでしょう。とても楽しみです。

ミドル・シニアの皆さんも、いかにこの「アフターデジタル」化を創出、構築、推進することに寄与できるかが、当然のごとく問われます。別に全員がプログラムを組めたりデータ分析ができたりする必要はないと思います。しかし、一方で、OMOを前提とした事業や商品・サービスづくり、関連するセールスやマーケティング、サポート業務をイメージできないことは致命的となります。自分の身の回りの利用ツールが10年前、20年前のレガシーなもののままでないか、要確認、要刷新です。

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ニューパワー時代の参加支援型リーダーシップ

テーマその3は「『オールドパワー』人材から、『ニューパワー』人材へ」です。

ジェレミー・ハイマンズとヘンリー・ティムズの「NEW POWER」に示されているコンセプトですが、「閉鎖経済から開放経済へ」「固定化された組織型からフラット&アジャイルな組織へ」「ピラミッド型からコミュニティー型、プラットフォーム型の組織へ」、こうした場所、スタイルで活躍できるリーダーシップのあり方への変化は確実に起きています。

先に紹介した2つの変化と相まって、私たちの働く組織のあり方やコミュニケーションスタイルが大きく変化していることは、既に皆さんも肌でお感じではないでしょうか。同書ではニューパワー時代のリーダーを「クラウド・リーダー」としています。これは、顧客や社員・協力パートナー(同書内では“群衆”と記載)を巻き込み、参加できるかたちにし(仕組みをつくり)、自ら動いてもらう、参加支援型リーダーシップを表しています。

当社では「リーダーシップ3.0/4.0」を提唱していますが(※2019年4月19日掲載「最新型『上司4.0』とは 仕事以外に2つの『シゴト』」参照)、これとほとんど同じコンセプトがここでいわれています。

私は十数年前から、21世紀に活躍する経営者の共通力の一つに「ユビトマ(この指止まれ)力」を挙げてきました。

「私はこんなことを、こんな仲間たちと成し遂げたいんだ」と大きく指を掲げる「ユビトマ型リーダー」。経営トップやビジネスリーダー自らが仕事を楽しみ、先を走る。それについていきたいと心から思う社員をどれだけつくれるかこそが21世紀の経営の勝ち組・負け組の境界線となっています。

経営者のみならず、ミドルシニアの皆さんがそれぞれ所属している組織・部署においてどれだけユビトマできるかが問われるのが2020年代であるとも言えるでしょう。

生活、社会、ビジネス環境のそこここで大きな構造変化が起きているいま、次の近未来を見据えて動くリーダーが求められています。

イーロン・マスクやジェフ・ベゾスのような「MOONSHOT」(非常に困難で独創的だが、実現すれば大きなインパクトをもたらしイノベーションを生む、壮大な計画や挑戦、目標)を掲げるカリスマ経営者に注目が集まってきました。日本においても次の社会を構想したり消費のあり方を変革したりするMOONSHOTを掲げたベンチャー企業が多く生まれていることを、私は日々の当社での事業活動や取材(「KEIEISHA TERRACE」イマ、ココ、注目社長!https://keieishaterrace.jp/article/index/1/79/)を通じて体感しています。読者の皆さんもぜひ彼らに負けないチャレンジをしていただければと思います。

20年代のリーダーポジションは、次の時代の波に乗りつつ、MOONSHOTを掲げ、「この指とまれ!」ができる人に託されます。ぜひその先陣を切ってください。

井上和幸

 経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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