1. NIKKEI
  2. 日経HR

EXECUTIVE エグゼクティブ転職

次世代リーダーのための
ヘッドハンティング転職サイト

出典:NIKKEI STYLE 出世ナビ 次世代リーダーの転職学

転職面接は自己PRの場にあらず 企業の課題を見抜け

エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

転職面接ではつい自己アピールに力を入れてしまいがちだ(写真はイメージ )=PIXTA

新年を迎え、「今年こそ転職する」と誓いを立てた人もいらっしゃるでしょう。そこで、今回は、転職活動をする人によく見られる「勘違い」についてお伝えします。転職活動に臨むにあたっては、「自分の経験・スキルをしっかりアピールしなければ」と思っているのではないでしょうか。もちろん、それも必須なのですが、自己アピール戦略だけに集中し、重要なことを見落としている人が多いのです。それは、「企業側の視点」「企業側のニーズ」です。

「相手企業が何を求めているか」を意識せず、自分が得意とすること、自信を持っていることを全面的にアピールした結果、「自社には合わない」と採用を見送られるケースは多々あります。本来は十分選考をクリアできる経験や能力を持っているにも関わらず、アピールポイントがズレていることで評価されなくなってしまうのです。

ですから、応募先の候補企業を選んだら、まずはその会社が「何を求めているか」に注目してみることが大切です。求人票や採用情報サイトなどを見れば、求める経験・スキルなどはある程度わかるでしょう。それを踏まえ、自身の職務経歴の中から、一致する経験、あるいは近い経験をピックアップして、面接でそれを具体的に語れるように準備しておくことをお勧めします。

「なぜ中途採用を行うのか」 採用の背景・目的をつかむ

相手企業が求める経験・スキルの情報は求人票や採用情報サイトから得られます。ところが、「採用背景」まではつかめないケースがほとんどです。しかし、採用背景をつかんでおくことで、より適切なアピールをすることが可能になります。採用背景とは、イコール「企業が抱える課題」。リーダー/マネジャークラスなどの上位ポジションを狙う方ほど、それをつかんだうえで選考に臨むことで、自分に期待されているポイントを想定したアピールができ、採用される確率が高まります。

今、エグゼクティブとしての市場価値が知りたい。

わずか5分でわかる、あなたのエグゼクティブ力
エグゼクティブ力診断

企業側の採用ニーズが様変わり

では、企業が中途採用を行う背景にはどんな事情があるのでしょうか。大きく分けると次のようなパターンがあります。

・事業拡大に際し、即戦力がほしい

事業拡大を図るとき、あるいは新規事業を立ち上げるときなど、入社後すぐに即戦力として活躍してくれる人材を求めます。

・欠員を補充したい

退職者が出た場合、抜けた人の穴を埋めるために採用を行います。業務が滞らないようにするため、退職者と同等のスキルを持つ人を求めるケースが多数です。

・新卒採用に苦戦している

新卒採用の予定数が充足しない場合、中途採用で補います。こうした理由の場合は、社会人経験3年以内程度の「第二新卒」はじめ、若手層を採用ターゲットとします。

・組織の年齢構成を整えたい

リーマンショック後の不況期に新卒採用を大幅に減らした企業、あるいは一時的な業績悪化などで採用を控えた時期がある企業では、組織の年齢ピラミッドのゆがみを是正するため、層が薄い年代を補充するケースが見られます。

さて、ここからが、今回、強調してお伝えしたいポイントです。このところ、企業の採用背景として、次の2つが多く見られるようになっているのです。

「新規事業に乗り出すため、自社にない発想・知見を持つ人材がほしい」

「会社を変革してほしい・刺激を与えてほしい」

この2点について、くわしくお伝えしましょう。

・新規事業に乗り出すため、自社にない発想・知見を持つ人材がほしい

少子高齢化による国内マーケットの縮小、テクノロジーの進化などを背景に、新規事業に取り組む企業が増えています。AI・ロボット・IoTの活用法を模索するなど、事業モデルの変革を図る企業も多数。最近ではDX(デジタルトランフォーメーション)推進を後押しする新規事業やサービスも多数生まれています。

思い切ったパラダイムシフトが必要と考えられていますが、既存社員だけではなかなか従来の方針や慣習を否定し、変えることは難しい。そこで、自社にはない発想や知見を持つ人を異業種から迎えるケースが増えています。

また、既存の事業とは異なる領域の新規事業に乗り出す場合、その領域の経験者を求めます。

・会社を変革してほしい・刺激を与えてほしい

変化のスピードが速い昨今、多くの企業が事業や組織の変革に乗り出しています。「働き方改革」もその一つ。しかし、数年前から始まった「女性活躍推進」も思うように進んでいない企業が多数を占めるなど、一筋縄ではいきません。制度や仕組みを作って導入しても、「風土」まで変えるのはなかなか難しいのが現状です。

「既存社員だけでは固定観念に縛られがちで新しい発想が生まれにくい」「社内の人間関係などのしがらみもあり、大胆な施策がとれない」――そんな課題意識から、外部から人材を迎えて変革を推進したいというニーズがあります。

また、「変革」とまではいかなくても、マンネリ化した組織に刺激を与えてくれる人材がほしい、という企業も多数。特に経営者からは、「既存社員に刺激を与えて、危機感を持たせてほしい。『今のままではダメなんだ』と気付かせてくれるような人に入社してほしい」という声を聞くことがよくあります。新しい手法を持ち込むことで、「こんなやり方もあったんだ」「新しいやり方を開拓していかないと、時代に乗り遅れる」という発見を与えてほしいということです。

今、エグゼクティブとしての市場価値が知りたい。

わずか5分でわかる、あなたのエグゼクティブ力
エグゼクティブ力診断

要求を先読みして、自己アピールをアジャスト

相手企業の採用背景を理解することで、アピールの切り口を工夫することができます。同じ業種・職種であっても、例えば、新規事業開発を強化したいと考えている企業に対しては「企画提案力」や「パートナー・アライアンス先の開拓力」をアピールするのが有効である一方、組織変革を図りたい企業に対しては「風土醸成や新しい人事制度導入の経験」をアピールしたほうがプラス評価につながりやすいかもしれません。

既存事業の拡大を図るフェーズにある企業であれば、その商品・サービスが好きであること、コンセプトに共感していることを伝えるのが有効ですが、「変革」を課題とする企業であれば、既存事業の問題点を分析・指摘する力をアピールしたほうが期待を寄せられる可能性があります。

さらに具体的な例として、「営業スタイルの変革」を図る企業を挙げてみましょう。「これまではルート営業中心だったが、新規開拓営業に乗り出す」「特定の業界だけを対象に営業してきたが、別の業界にも営業を仕掛ける」「“根性営業”でやってきたが、営業活動を効率化するツールやサービスを導入する」「独自で顧客開拓してきたが、他社とタイアップして顧客を紹介し合う」「テレアポ営業中心だったが、セミナーを開いて顧客を誘致する」――などがあります。

求人の背景や目的をつかんでおくことで、自分自身の経験と照らし合わせ、相手企業のニーズに合う経験を積極的にアピールするといいでしょう。あなたが今まで当たり前に行ってきたことが、他社では斬新な手法として受け入れられる可能性があるということを認識してください。皆さんが応募しようとしている企業がどんな課題を抱え、どんな人材を求めているのかを企業研究や面接の場で汲み取り、自分がどう貢献できるかを考えてみましょう。

なお、採用背景について求人票や採用情報サイトから読み取れない場合は、企業や経営者のインタビュー記事や経営者のブログ・SNSなどを探して読んでみることをお勧めします。課題と感じていること、今後目指すことが書かれていることがあります。上場企業であれば、IRページには投資家への報告として今後の計画・ビジョンが記されていますので、そこからも情報を得られるでしょう。

森本千賀子

morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊『マンガでわかる 成功する転職』(池田書店)、『トップコンサルタントが教える 無敵の転職』(新星出版社)ほか、著書多数。

今、エグゼクティブとしての市場価値が知りたい。

わずか5分でわかる、あなたのエグゼクティブ力
エグゼクティブ力診断

「次世代リーダーの転職学」をもっと読む

※NIKKEI STYLEのウェブサイトに移動します

おすすめコンテンツ
  • 10万人以上が受験「年収査定」無料査定を試してみる
おすすめ情報
  • 日経ビジネススクール

PAGE TOP

わずか5分でわかる、あなたの「エグゼクティブ力」
エグゼクティブ力診断テスト