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転職に逆風 コロナショックでも折れない「自分磨き」

ミドル世代専門の転職コンサルタント 黒田真行

コロナショックのあおりで、休業や売り上げ減少に追い込まれるケースが相次いでいる(札幌市の百貨店)

コロナショックが収まる気配をみせず、転職市場への影響も避けにくくなりつつあります。内閣府が3月9日に発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、前期比が年率換算で7.1%減でした。景況感が低下基調にあるのに加え、さらに年明けからコロナショックが本格化、今も先が見えない状況です。3月に入って米ニューヨーク証券取引所のダウ平均が相次ぎ過去最大の下げ幅を記録するなど、不況入りが必至の状況となってきました。この低調な景況感はミドルの転職市場にどのような影響を与えるのか。今回はこの逆風下での転職との向き合い方を考察しました。

ニューヨーク証取のダウ平均は相次ぐ急落で、少なくとも、2018年10~12月の世界景気悪化懸念の水準と同程度の株安になっています。このままいくと、リーマンショック並みの長期の不況を迎えることになる可能性も無視できない状況です。世界経済の減速や消費増税の影響も含めて19年10~12月期の国内総生産が年率換算で7.1%減となっていたマイナス基調のところに、新型コロナが覆いかぶさってきた状況で、先行きの不透明感はさらに増しています。

この状況が今後、どこまで冷え込み、またどれくらいの期間続くのか、まだ全体像は見えていません。しかし、海外からの旅行客の制限や、イベントの自粛、電気・機械部品の物流が滞っている状況などからして、雇用市場に対しても大きな影響が生まれることが予想されます。需要と供給のバランスを見た場合、「需要(求人数)<供給(求職者数)」という領域は、どうしても合格率が低下し、転職難易度が上がってしまいがちです。

職種でいうと、事務、営業、販売・サービス、年齢でいうと、35歳以上のミドル層、45歳以上のシニア層はどうしても大きなマイナス影響を避けられないと考えています。とはいえ、どんな環境であっても、キャリア形成は進めていく必要があります。この逆風を前提として、どのような対応、準備が整えられるかを考えていきたいと思います。

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未来が予測できないから、今を重視して働く

キャリア形成の理論の中に、「キャリアの8割は偶然によって決定される」という前提に基づいた考え方があるのをご存じでしょうか。米スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が20世紀末に提案した「計画された偶発性理論」というキャリア理論です。

この理論の要点は、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」「その偶発的なことを計画的に導くことでキャリアアップをしていくべきである」という2点にあります。たとえば、「前職時代の上司とたまたま飲みに行った際に、上司が創業した会社に誘われた」というようなケースがそれに相当するかもしれません。もともと予期していなかったできごとが、自分のキャリアに大きな影響を与えることがあり、その積み重ねによって個人のキャリアが形成されていく、というのがこの理論です。

学術的なキャリア理論には、いわば未来重視型の考え方と、現在重視型の考え方があります。「計画された偶発性理論」はあまり将来のことに気を取られると、足元が見えなくなってしまうという考えで、しっかり現在を重視していくべきだという思想でこの理論をまとめています。

その背景には人工知能(AI)の進化や、今回のコロナショックのように、環境の変化が高速化することによって、未来予測が簡単ではなくなっているという事実があります。予測不能な未来から逆算してキャリアを考えるより、今ここにある現実の環境をベースにキャリアを広げていこうという考え方になっています。

それを具体的に進めていくために、クランボルツ教授は以下のような行動指針を持つことが重要だとしています。

(1)「好奇心」 たえず新しい学習の機会を模索し続けること

(2)「持続性」 失敗に屈せず、努力し続けること

(3)「楽観性」 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること

(4)「柔軟性」 こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること

(5)「冒険心」 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと

そして、これらの行動指針を実践していくと、予期しない出来事を自分の周りで創り出しやすくなるといわれています。

「今に集中すれば、予期しない出来事にもうまく対応できる。世界中の成功者は、誰もビジョンを持っていて、なおかつ偶然をもモノにしたからこそ、成功しているのだと思います」(ジョン・D・クランボルツ教授)

未来の目的地を定めたうえで、「計画された偶発性理論」が提示した5つの行動指針に基づいて行動を続けることが、キャリアアップにつながるという理論。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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自らを活性化する対策に取り組む機会に

上記の視点をもとに、日常的な視点でできることはないかを考えてみると、たとえば以下のような自己活性化策があるのではないかと思います。

・異なる部署への異動を申請する

環境を変える大きなイベントの一つが、人事異動。社内に正式な異動願を出せる制度がある会社とそうでない会社があるかもしれませんが、経営者や現場のキーパーソンと事前にネゴシエーション(交渉)して、もし可能性があるのであればトライしてみるという選択はあるのではないでしょうか。会社の中で転職する感覚といってもいいかもしれません。

現実的には、過去にやったことがある業務や、これまでの業務が生かせる部署ということになると思いますが、場合によっては自分のキャリアにプラスになるのであれば、未経験部署にチャレンジすることも大きな学びの機会につながると思います。

・リバースメンタリング

会社でよくある「メンター制度」は、年長者であったりベテランが若手について指導する、心の支えになるといった制度ですが、それをリバースするので、若い人から年配者が技術を学ぶということがリバースメンタリングです。

それこそ交流サイト(SNS)を使いこなせない、ついていけないという人が若手に教えを乞うということもリバースメンタリングの一つです。余計なプライドを捨てて、若い人から学ぶと、いろいろなことに気づきます。

米ゼネラル・エレクトリック(GE)の最高経営責任者(CEO)だったジャック・ウェルチが十数年前に「若手社員の指導によってベテラン社員たちにインターネットを習得させる」という逆メンター制度(リバースメンタリング)を取り入れ、それが功を奏したことから広まったといわれています。

ソーシャルメディアやテクノロジー、最新トレンドについて、ベテラン世代にとって不得意なことを学ぶために、自ら若い世代の師匠をつくり、学ばせてもらうという体験は有効かもしれません。世代を超えて学ぶ姿勢は、これからのキャリアにとっては不可欠な要素なので、もし周囲にお願いできる人の心当たりがあれば、ぜひ勇気を出して声をかけてみてください。

不況によって厳しい雇用環境がやってきても、十分に変化に対応して戦っていける基礎体力と柔軟性を身につけて、自分らしいキャリアを構築していただければ幸いです。

黒田真行

ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。2019年、中高年のキャリア相談プラットフォーム「Can Will」開設。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』、ほか。
「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/
「Can Will」https://canwill.jp/

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