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出典:NIKKEI STYLE 出世ナビ 次世代リーダーの転職学

オンライン時代のリーダー 3密でなく「3必」能力を

経営者JP社長 井上和幸

オンラインワーク下でのリーダーは言葉選びやムードづくりがこれまで以上に求められる 写真はイメージ =PIXTA

新型コロナウイルスの影響で、この数カ月でリモートワーク、テレワークへ切り替えた人が多いでしょう。「3密」を回避するための企業行動ですが、このベースとなっているのが「オンライン上で業務を進めること」です。全ての仕事がオンライン化するなか、転職市場でこれから採用されるミドル・シニアに求められるのは「オンラインリーダーシップ力」です。具体的にその主な中身をみてみましょう。

これまではオフィスに集まり、対面で働き、物理的な移動を伴う形で社内外の業務を進めていたものが、一気にオンライン上であらゆることをこなす形に切り替わりました。まだ抵抗感、違和感を覚えながら対応している人もいるかもしれませんが、このオンラインベースでの働き方は、決して新型コロナに対応した「やむを得ない一時的・一過性の取り組み」ではなく、これが「常態」になるものだと私はみています。

リーダーに一層求められる「明確な言葉」「キーワード力」

「打ち合わせはビデオ会議で15分、30分で」「いつミーティングしましょうか?では本日午後 or 明日AMで」「今週の業務タスクとゴールは何?」「課長、これは具体的にどう進めればよいですか? AとBとC、優先順位はどうなるでしょうか?」

オンラインワークが広がってから、皆さんが部下や顧客やパートナーなどと交わすようになった会話の一例を書き出してみました。この2カ月ほどの間に感じているのは次のようなことです。

・細かい会議(ビデオ会議)が増えた

・メールやチャットの量が激増した

・社内外問わず、打ち合わせの設定タイミングが即時や近日になった

・1回あたりの会議時間が自然と短くなった

・議題やToDoが明確になった(明確化が問われる)。会議で無駄話がなくなった。「なんとなく」終わることがなくなった

・社内と社外の心理的距離の差が少なくなった

・返信などのレスポンスが遅い、来ないとストレスを強く感じるようになった

・「ただいる」「ただ出席、参加」「発言しない」人の存在の無意味さが浮き立つようになった

・伝言ゲームしかできない人、ただ反論するだけの人を、仕事の「障害」と感じる意識が強くなった

・メール文面やビデオ会議中の表情がこれまで以上に気になるようになった(特にネガティブな場合)

時間効率的にも質的にも具体的メリットの多くみられるオンラインコミュニケーションの特徴は「無駄のなさ」にあるでしょう。そして、その特徴があるがゆえに、このメリットを享受できる人とできない人とに二極化しつつあるのも事実です。

まず第一にミドル・シニアの皆さんに自覚してほしいことは、オンラインワーク化に伴い、これまでの「雰囲気」や「ニュアンス」一辺倒のマネジメントは効かなくなっているということです。私の当連載の前回記事で、オンライン面接対策として端的に具体的に話す力や文章力について触れましたが、日常のオンラインワークで、一層求められるのが、「明確な言葉」「キーワード力」です。

図らずもこの状況下に影響力を高めている小池百合子東京都知事は、「オーバーシュート」「ロックダウン」「午後8まで」「3日に1回」「ステイホーム」など、キーワードとして印象に残る言葉、時期や設定の明確な言葉を使います。カタカナ言葉には反発も多くあるようですが、受け手の記憶にしっかり残ることは確かです。

これまでの政治家のような「善処」「遺憾」などのような忖度(そんたく)を求める言葉遣いでは、オンライン時代のリーダーシップは取れません。緊急事態宣言の延長を議論するために開かれた専門家会議での政府への提言が「外出自粛を当面維持するのが望ましい」「今後とも一定期間は、この新たなウイルスとともに社会で生きていかなければならないことが見込まれる」という「あいまいワード」であったことは、諸外国とのコミュニケーション力、リーダーシップ力の彼我の差を感じ、非常に残念に感じました。

さて、皆さんは職場で、メンバーの気持ちを引き付ける言葉遣い、明確なゴール・納期設定のされた言葉を発することはできているでしょうか?

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オンラインマネジメントは「成果」オリエンテッド

在宅ワークのマネジメントのために、いかに部下たちがパソコンの前にいるかを監視するツールや仕組みが注目されています。これは日本だけのことではなく、欧米でのニュースをみていても同じようですね。パソコン(PC)上での操作ログを取るツール、従業員たちの使用しているPCのカメラを使って不定期的に写メを取りPC前にちゃんといたかを監視するツール。なかなか笑えるあの手この手のソフトウエアや手法が試みられているようです。

しかし、これらのものは、私としてはいずれも愚の骨頂だと思います。リクルートマネジメントソリューションズの「テレワーク実態調査」によれば、半数以上の管理職が「部下がさぼっていないか心配である」と考えているそうです。部下たちが目の前にいないので、何をしているか分からなくて不安だ、サボっているのではないかという気持ちは、分からなくはありません。

でも、果たしてこれまでもオフィスでPCの前に座っていれば、その部下は仕事をしていたといえるのでしょうか。そもそもリアルの場(オフライン)であろうが、オンラインだろうが、マネジメントやリーダーの果たすべき役割は「チームの目標を設定し、それぞれの進捗を確認する。その状況に応じて、必要なアドバイスや指示を与え、計画通りの納期までに目標を達成させる」ことです。

現実問題としては労働法上の制約や課題が依然として大きいものの(優先順位の問題だと思いますが、なぜ今、時間管理を外せない昭和の労働法がリモートワークに全く適応できなくなっていることについての不満と議論が噴出しないのか、不思議です)、オンラインワーク時代のマネジメントは、部下たちに出してほしい成果を明確に定め、中間状況(中間指標)を含めて、その成果の到達状況、アウトプット(のみ)を管理するスタイルでなければ務まりません。そうでなければ、まっとうな成果を出すことはできないでしょう。

PCの前にちゃんといるのかばかりをチェック・管理しようとしている(それがマネジメントだと勘違いしている)ミドル・シニアは、部下たちからも会社からも、今後見放されていくことになるのは間違いありません。

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オンラインワークでの「ムードマネジメント」ができるか

先ほどのリクルートマネジメントソリューションズの「テレワーク実態調査」によると、管理職経験者の6割以上が「部下に必要なときに業務指示を出したり、指導をしたりしづらい」「チームビルディングができない」ことに不安を感じているそうです。

この気持ちはわかります。先日、話を聞いた、新型コロナ以前から全社リモートワークを実践してきたベンチャーの経営者は「我々も週に1度は全員(リアルの場に)集まることにしています」と述べていました。そのこころは、メンバー同士の信頼感・親近感をしっかり醸成、構築するためには対面でコミュニケーションを図ることが必須であるからということでした。

当社もですが、皆さんも、今回、急きょのリモートワークに切り替えて、うまく業務が回っているとすれば、それはこれまでリアルの場で培ってきたお互いの信頼感・親近感がある「信頼残高」を使うことができているからです。

そういう意味では今回の新型コロナ危機は、ミドル・シニアの皆さん、また経営者にとって、大きな転換点になるでしょう。メンバーたちとの信頼関係がなかった状況でオンラインコミュニケーションにシフトすれば、さらに関係は悪化します。

逆に今回の新型コロナ禍を機会にメンバー全員で危機感や次の時代への挑戦心、ビジョンやテーマを共有し、同じ目標に向かって一丸となって走り出す組織も多く存在しています。この意味でも、二極化が大きく進むことでしょう。

上記のようなチームビルディングを組み立て、「信頼残高」を蓄積したうえでですが、これからのミドル・シニアはメールやグループウエアなどのネット上、ビデオ会議などのオンライン上で、メンバーたちや社内外関係者たちの感情マネジメントができるオンラインコミュニケーション力が問われます。

メールやグループウエア内のチャットなどのテキストでも感情を乗せた文面が書けるか否か。相手の感情を察知し、臨機応変にSkype(スカイプ)やZoom(ズーム)などでショートミーティングが行えるかどうか。具体的にこういったオンラインコミュニケーション力が期待されるでしょう。

これからの転職市場で評価・採用されるミドル・シニアには、従来以上に精神的安定性やポジティブな姿勢、楽観性などが求められます。なぜなら、こうした感情的側面は、オンライン上でプラス面もマイナス面も増幅して伝わるからです。

そもそもはマネジメントやリーダーとメンバーが、お互いに何をすべきか理解しているならば、オンラインの方が効率はいいのです。オンラインのよさは簡潔に会話ができることなので、トピックスごとにかなり密度の濃い対話ができます。オンラインでは話が脇道にそれることも少なくなり、テーマについて真正面から話していても違和感や気恥ずかしさが起きにくい。リアルよりも互いの距離感が自然と近くなるので、突っ込んだ話がしやすいのです。おそらく、オンラインになったことで、これまで知らなかったメンバーの考え方やプロセスの新たな進め方などがみえてくるケースが増えるでしょう。

オンラインで「素」でメンバーとやりとりしていると、そこに自分の感情を素直に乗せられれば、あなたのオンラインリーダーシップは自然とよい形で発揮されていることに気がつくことと思います。逆に「これまで対面だったのが、オンラインになってしまったから、マネジメントも業務コミュニケーションもうまくいかなくなってしまって」という人は、そもそもマネジメントやリーダーとしての自分の役割は何だったのか(何だと思っていたのか)を、根本から見つめ直す必要がありそうです。

ウィズ・コロナ時代のオンラインリーダーシップについて、主要な3点を紹介しました。この3点を発揮する大前提として、オンラインワーク時代のリーダーシップには「自己管理能力」が不可欠なものとなります。規律正しく業務計画を立て、実行し、仕事のメリハリをつけ、しっかり息抜きやリセットもして健康管理も行える人でないと、ウィズ・コロナ、アフター・コロナ時代を生き抜くことは難しくなるでしょう。

そもそも「この新型コロナ禍はいつ終息し、元の世界に戻るのか」という問いを捨て去ることができるか否かが、今、ミドル・シニアの皆さんに問われています。アフター・コロナの後にやってくるのは、間違いなく「新世界」、新たな常態です。コロナ禍はいずれ終息(少なくとも沈静化)するでしょう。しかし、もうビフォー・コロナの世界に戻ることはないと思います。

井上和幸

 経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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