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ウィズコロナ下のミドル転職 決め手は「文章力」

経営者JP社長 井上和幸

オンラインでのやりとりでは文章表現の能力がこれまで以上に問われやすい(写真はイメージ) =PIXTA

ウィズコロナがすっかり日常となった感がありますが、幹部転職市場においては、この環境下でもオファーが殺到するミドル・シニアと、応募すれどもすれども次のステップに進めない人との二極化傾向がビフォーコロナ以上に強まっているように感じます。いまひとつうまくいっていない人と面談で話すと、実はせっかくの良い経験や専門、特定領域での強みを持っているのに、それを伝えきれていないせいで、新天地への橋が懸かっていないというケースもかなり多く見られます。うまくいっている人とそうでない人の差はどこにあるかといえば、それは「言葉力」「文章力」の差にあるのです。

転職活動において、自身の経歴や考えを具体的かつ論理立てて、時に思いも込めて書けているか(職務経歴書)、話せているか(面接・面談)。そもそも、この記述力・表現力についてはコロナ以前に、転職活動の土台となる非常に重要な力です。特にウィズコロナで面接がオンライン化したことに伴い、対面以上に話し方に明瞭さ、具体性、話の筋道の論理性、分かりやすさ、一方では言葉使いから感じられる性格、人間性などについての表現力が選考段階で問われるようになっています。

またそれに加えて、この局面での選考ポイントとして強く留意してほしいのが、入社後のミドル・シニアの皆さんの勤務スタイルを前提とした選考評価ポイントです。どういうことかといえば、入社着任後の業務もオンラインベースとなることから、ビフォーコロナ以上に「明確、的確に言語として部下や同僚、上司とコミュニケーションできる人」か否かが、強く問われるようになっているのです。

以前に当連載でグーグルが明らかにした「生産性の高いチームが持つ共通点」についてご紹介しました。グーグルの「プロジェクトAristotle」が導き出した「チームを成功へと導く5つの鍵」は次の通りです。

  • 1)心理的安全性(Psychological safety) 不安や恥ずかしさを感じることなくリスクある行動を取ることができる
  • 2)信頼性(Dependability) 限りある時間を有効に使うため、互いに信頼して仕事を任せ合うことができるか
  • 3)構造と明瞭さ(Structure & clarity) チーム目標や役割分担、実行計画は明瞭であるか
  • 4)仕事の意味(Meaning of work) メンバー一人ひとりが自分に与えられた役割に対して意味を見いだすことができるか
  • 5)仕事のインパクト(Impact of work) 自分の仕事が組織内や社会全体に対して影響力を持っていると感じられるか

このウィズコロナ下、改めてこれを見て、5つの項目をいかにオンライン上で「言葉力」と「文章力」で成立させることができるかを考えてみて、日々の行動やコミュニケーションスタイルをセルフチェックしてもらえると、非常に効果的です。業務の役割やタスク、計画を明瞭にすること。仕事の意味づけやインパクトをしっかり伝える工夫をすること。そしてチームやメンバー間がリモートでも安心して働ける、同僚や上司と気軽にコミュニケーションできる、お互いが信頼し合っている前提で闊達に業務コミュニケーションできるような「場」づくり。こうしたことを「言葉力」と「文章力」を駆使して実現できるミドル・シニアは、いま「買い」なのです。

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人材エージェントが実は見ている「言葉力」「文章力」

転職活動中の多くのミドル・シニアの皆さんが人材エージェントを介して活動を進めていらっしゃると思います。ここでも「言葉力」と「文章力」は非常に問われていることにお気づきでしょうか。

あなたは面接終了後のエージェントへのフィードバック連絡について、どのようにしているでしょう。面接の内容や自身の所感を具体的にエージェント担当者に伝達していますか。

我々も(実はといいますか、当然ながらといいますか)、候補者の力量を、フィードバックをもらう際の言語力で見ています。「面接はどのような内容であったか」「面接者はどのような質問を通じて、何を確認・評価したと思ったか」「あなた自身は何を伝え、どのようなことを質問したか」「その結果として、今回の面接で、どのような理由から、どのような企業や職務への意向を持ったか」。こうしたことを明快に話せることは、軸を持った転職活動ができているということです。

一方、終了後に「どうでしたか」と尋ねられて、「無事に終わりました」「良かったです」しかフィードバックコメントが出てこないミドル・シニアは、本音をいえば、その時点で失格なのです(もちろん、実際にはこちらから手を替え品を替え、所感を自ら落とし込んでもらえるよう働き掛けることで支援しますが)。

漠然と面接に臨み、上記のようなことについてしっかり言葉で述べたり、採用側の判断を促したりできないミドル・シニアに、リーダーシップを発揮したり重要事項の判断を下したりするような業務を託すことは難しいですよね。

ちなみに、電話でしかフィードバック内容を聞かない、話さない人材エージェントは非常に危険です。こちらがちゃんとフィードバックしているのに、エージェント担当者が聞き漏らしていたり取り違えたりしていたら、せっかくのあなたの活動が毀損してしまいます。しっかりお互いに文章で記述し、メールでやり取りすることです。言語化する力を相手に伝えるということだけでなく、後々の誤認や伝達ミス、伝達忘れを防ぐ自己防御策でもあるのです。

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「書けない」ミドル・シニアは、これから厳しくなる

さて、振り返ってみて、そもそも日常の業務はどうでしょう。分かりやすい言葉にして話す、書くということができているでしょうか。

ここまで見てきた通り、ミドル・シニアが転職時に問われる「リーダーとしての必須基礎能力」は「言葉力」「文章力」だと言っても過言ではありません。そもそも私たちは、あらゆることを「言葉」「文章」で行っています。戦略構築、クリエーティブ活動、人と組織のマネジメント、人間関係・コミュニケーションなど、どの側面を取っても必ず「言葉」「文章」をもって実行されます。

私が日々、多くのミドル・シニアの皆さんと接していて、特に個人差が大きいと感じるのが「文章力」です。

リモートワークが広がり、オンラインコミュニケーションでやり取りされるビジネス文章は、そのテキストを通じて、業務上の情報のみならず、互いの人柄や内面もやり取りしています。私たちは、情報だけでなく、その背後にあるその人自体の人物を、意識・無意識にみています。こうしたことを前提としたメールコミュニケーション、オンライン上でのテキストコミュニケーションができる人とできない人との間には、業務力や関係構築力に非常に大きな差があるのが現実です。

形式張った文章しか書けないため、相手との心理的距離を全く詰められない人がいます。特に中高年に慇懃(いんぎん)な表現に終始してしまう人をよく見ます。一方で若手中堅世代でも、特に男性にはこうした「心理的つながり、距離感のコントロール」に無頓着な人を見かけます。こういう部分に気働きとちょっとしたヒューマンスキルを文章に載せられない人は、なかなかその後、ミドル・シニアとして成長・成熟していくことが難しいので注意が必要です。

私たちはこれまで「視覚情報(見た目、しぐさ、表情、視線)」55%、「聴覚情報(声の質や大きさ、話す速さ、口調)」38%、「言語情報(言葉そのものの意味、会話の内容)」7%という「メラビアンの法則」が成立するリアルワールドで生きてきました。ウィズコロナ下で起こることは、この比率が大きく変わることです。93%に甘えることが許された過去から、より言語情報依存度が上がらざるを得ない(おそらく5割かそれ以上)であろう明日へと。「阿吽(あうん)の世界」からの脱却が、ミドル・シニアの皆さんの転職を成功させ、その後の仕事力を担保することになります。

井上和幸

 経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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