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ワーケーションで変化対応力磨く 2拠点生活も効果大

エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

森本氏は4月から東京と静岡の2拠点生活を始めた(写真はイメージ=PIXTA)

コロナ禍により、テレワークが拡大。それに伴って増えているのが「ワーケーション」です。ワーケーションとは、「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語。リゾート地などに滞在し、テレワークをしながら余暇も楽しむ過ごし方を指します。「働き方改革」が進む中で、大手企業がワーケーションを導入するようになり、コロナ禍を機に広がりを見せています。

それを受け、地方ではワーケーションの誘致に力を入れる自治体が増えています。その目的の一つは「関係人口の拡大」。人口減少に歯止めをかけたい地域では、Uターン・Iターンを呼び込んでいますが、「移住」となるとハードルが高い。そこで、まずは「訪れてもらう」きっかけを提供し、その地が気に入ればリピート訪問、さらには移住につなげることを目指し、「地域と関わる人」の増加を図っています。

もちろん、地元の観光業の活性化の狙いもあります。また、ワーケーション施設の整備により、地方で深刻化する「空き家問題」の解決策にもつながります。そして、もう一つの目的が、「大都市圏で働く人材の呼び込み」。成長意欲がある地場企業やビジネスパーソンたちが、大都市圏で働く人と交流することで刺激を受け、新しい情報やノウハウも得られることを期待しています。つまりは、地域経済の活性化の効果もあると考えられているわけです。

実際、ワーケーションがきっかけで、首都圏の人材が地場企業で副業するケースも見られます。「ふるさと副業」のトレンドについてお伝えした前回記事では、山形県が2020年から取り組んできた『Yamagata 幸せデジタル化構想』をご紹介しました。

この構想においても、「地域の魅力と交流人口の拡大・イノベーションの創出」が掲げられています。ネット環境の強化によるテレワーク環境の整備や、ワーケーション・シェアオフィスを展開しての地域活性化を、具体的施策として打ち出しています。オンラインによる県内コワーキングスペースネットワークと首都圏のネットワーク形成を図り、交流人口の増加を図っているのです。

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また、ワーケーション誘致にいち早く取り組み、力を入れているのが和歌山県。2004年からサテライトオフィスを設け、2015年に大手IT企業が利用し始めて以降、拡大しているようです。県は、「Wakayama Workation Networks(ワカヤマ ワーケーション ネットワークス)」を設け、和歌山でのワーケーション関連サービス提供者の取り組みを紹介しています。

中でも、南紀白浜空港は、地域の交通ハブとなり、ひとたび空港に来れば誰もがどこへでも自由にスムーズに移動できるように、地元鉄道会社・バス会社と連携し交通ネットワークの拡充を進めています。

このほか、長野や静岡など、首都圏から新幹線でアクセスしやすい地域でも、ワーケーション拠点整備が進められています。2019年には「ワーケーション自治体協議会(WAJ)」が発足し、全国への普及を促進。今後、ワーケーションに活用できる拠点はさらに多くの地域へ広がっていきそうです。

希望のライフスタイルの実現とともに、新たな人脈も築ける

では、大都市圏で働くビジネスパーソンたちは、どのようにワーケーションを活用しているのでしょうか。私の知人では、こんなケースが見られます。

●月1回・1週間、地方に滞在してワーケーション

●地方への出張の前後に、現地でワーケーション施設を探して利用

●フルリモートOKの会社に勤務する女性が、子どもの春休み期間中、子どもと一緒に地方に長期滞在。平日は子どもが遊んでいる間にリモートワーク

●釣りが趣味の男性が、全国で釣りスポットを探し求めながらワーケーション

●家族サービスのため、旅行費用が安く済む平日を選び、家族と一緒に観光地へ。日中は妻と子が現地で遊んでいる間にリモートワーク

非常に多忙で、これまでは休暇を取る時間などなかった人々も、リモートワークの定着により、ワーケーションを実践できるようになりました。リフレッシュでき、メンタルバランスが整う人もいます。

リモートワークをする以外にも、例えば、会社を辞めて次の会社に入るまでの間、資格取得やスキルアップの勉強に集中するためにワーケーション施設を利用するのも有効だと思います。そして、バケーションを楽しんでリフレッシュする以外の効能もあります。それは「人脈の構築」です。コワーキングスペースで地元企業のビジネスパーソンと交流したのをきっかけに、ビジネスで手を結んだり、地元企業で「リモート副業」を始めたりするケースが生まれているようです。

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また、ワーケーション施設では、自分と同じように、大都市圏からワーケーションに訪れている他社のビジネスパーソンと出会う機会もあります。ワーケーションというリラックスした環境では、お互いオープンにコミュニケーションがとれるのかもしれません。情報交換をしたご縁がつながり、後に協業につながった例もあるようです。

地方に移住して「2拠点生活」を始める人も増加

地方のワーケーション施設を利用するだけでなく、地方に居宅を構えて「2拠点生活」を始める人も増えています。都心のオフィスへの出社が必要なときは、もともと都内で暮らしていたマンションやビジネスホテルなどに泊まり、テレワークをする日や休日は地方で過ごす、というライフスタイルです。私の周辺でも栃木県の那須、神奈川県の鎌倉や逗子、千葉県の房総などのエリアに住まいを移したケースがあります。

そして私自身も、今年4月から東京と静岡の2拠点生活を送っています。次男が静岡の中学校に進学したため、次男と私で静岡に移住。夫と長男が引き続き暮らす東京のマンション、東京に構えているオフィスと行き来しています。

東京のマンションは湾岸エリアにあり、窓からは河川と東京湾が望めるのですが、静岡のマンションからは緑にあふれる山を眺望でき、駅まで歩く間には富士山も見えて、とても新鮮です。

これまでなかなか子どもと過ごす時間を持てなかったのですが、一緒に料理を作るなど、じっくり子どもに向き合えるようにもなりました。時間の使い方への意識も変わり、人と会う時間はより貴重なものと感じ、大切にするようになりました。

地方では低額の家賃で広い家に住めますので、楽器演奏やエクササイズ・トレーニングなど、ある程度のスペースや設備を必要とする趣味を持つ人は生活が充実するでしょう。ランニングやアウトドアレジャーを楽しむにも格好の環境。自身が移住してみて、2拠点生活の魅力を肌で感じています。

さらには、移住先のコミュニティで、新たな人脈も築かれつつあります。移住1カ月にして、一般社団法人 静岡県ラグビーフットボール協会の理事に就任し、静岡県の「ラグビー聖地化構想」への挑戦を支援してまいります。私は大学時代にラグビー部のマネージャーを務めて以来、ずっとラグビーファンなのですが、思いがけないご縁が結ばれました。

私は、ビジネスパーソンの皆さんからよくこんな質問を受けます。「これからの時代、強いキャリアを築くためには、どんな能力を磨けばいいですか」。この問いに対し、「変化対応力」「多様な人々との共創力」と答えています。

時代の変化のスピードが加速する中、自分を取り巻く状況や環境が突然変化したとしても、柔軟に対応していける人材が強さを発揮します。そして、事業の立ち上げや推進をスピーディーに展開するため、多様なバックグラウンドや価値観を持つ人との「協働」「共創」の機会も増えていきます。

1つの場所にとどまり、常に同じメンバーで同じことを繰り返していたのでは、変化対応力や共創力はなかなか養われません。異なる環境の中で新たな体験をしたり、これまで接点がなかった多種多様な人々と交流し刺激しあったりすることで、これからの時代に求められる変化対応力・共創力も身に付くと思います。そのトレーニングの手段として、ワーケーションや2拠点生活を活用してみるのも有効だと思います。

森本千賀子

morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊『マンガでわかる 成功する転職』(池田書店)、『トップコンサルタントが教える 無敵の転職』(新星出版社)ほか、著書多数。

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