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「求む50代」 若手経営者が欲しがるベテランとは

エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

頼られるミドル・シニアには共通点がある(写真はイメージ) =PIXTA

最近は積極的に「50代の人を迎えたい」とする求人依頼が増えてきています。今回は、50代以上の人材が求められている背景と、どのような50代が歓迎されているかをお伝えします。40代以下の皆さんは、50代を迎えるまでにどのような経験を積んでいくかのヒントにしてもらえればと思います。

50代になると、「役職定年」を迎え、その後は会社にとどまるにしても転職するにしても、活躍の場を見つけるのが難しい――。これまではそのように考えられがちでした。50代で転職に成功した事例にしても、「本当は40代までの人を求めていたが、よいご縁がなかったので年齢条件を緩和して50代の人を迎えた」といったケースが多く見られました。しかし、近ごろは事情は変わってきつつあります。

若手経営者の指南役・サポーター・メンターとして50代が活躍

近年、新たなテクノロジーを活用したビジネスモデルやサービスで起業するスタートアップが増えています。短期間で成長を遂げる企業も多く、2020年は新型コロナウイルス禍の真っただ中にもかかわらず、国内の新規株式上場(IPO)社数は93社と、08年以降で最多となりました。

スタートアップの経営者には20~30代も多くいます。そうした企業では「同年代の仲間」が集まっていることが多いのですが、あえて50代以上のベテランを迎えたいと考える企業もあります。

IPOをゴールとせず、その先のさらなる成長を見据えている経営者――自社の将来ビジョンとして「ユニコーン企業(株式時価評価額が10億ドル(約1040億円)を超える未上場のスタートアップ)」「日本発・世界で勝負できる企業」などを目標に置いている経営者は、早い段階からそのレベルに見合う基盤づくりに注力します。

その際、頼りになるのは、大手企業並みの組織や仕組みが築かれるまでの「プロセス」を経験してきたベテラン人材。知識を持っているだけでなく、ぶつかった壁や「修羅場」なども含めたプロセスの実体験を持ち、壁の超え方・成功への道筋を再現できる人材です。それだけの経験を持つ人物となると、50代以上が候補になるわけです。

あるスタートアップ企業は、現役大学生と大手流通関連企業で役員を務めた経験を持つAさん(50代)がタッグを組んで共同で創業しました。生み出したサービスは日本トップクラスの大手企業に続々と採用されており、メディアでもたびたび取り上げられるなどしてスピード成長を遂げています。

この企業はインターンの大学生がそのまま入社してくるなど、若いメンバーが中心の組織。しかしながら、その組織文化は成熟度が高く、品格が備わっていると感じます。それは間違いなく、Aさんの影響でしょう。また、エンジェル投資家やビジネス界の重鎮からの支援が集まっていることも、Aさんの存在が信頼を得ているからこそだと思います。

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次期社長を支えるためにミドル・シニア層を採用

私が転職エージェントとして企業と人材のマッチングを行う中でも、40代後半~50代の人が「ナンバー2」「ナンバー3」の経営ボードメンバーとしてスタートアップに迎えられる事例が複数あります。「顧問」「社外取締役」といった形で参画するケースも多くなっています。

「若手経営者を助ける」という役割でいえば、スタートアップだけでなく、「老舗企業の事業承継」においても、50代以上が頼られるケースが多々あります。高齢になった創業オーナーが引退して、子供や若手社員に経営をバトンタッチする際、まだ経験が少ない次期社長を支えるためにミドル・シニア層が採用されるのです。

例えば、ある地方企業の3代目社長が引退する際、4代目社長となる息子さんの「指南役」として、大手メーカーを定年退職したばかりのBさん(60歳)を採用しました。息子さんは30代前半。東京の会社で営業職として働いていたのですが、事業承継のため、故郷に戻りました。「専務」という立場で、近い将来の事業承継に備えるタイミングでした。

まだマネジメント経験が浅いので、これから経営を学んでいく必要がありました。社長は「親子の間柄での直接指導ではうまくいかない」と判断。外部に「番頭」的役割を担ってくれる人材を求めたのです。

採用されたBさんは、大手メーカーで本社の役員や子会社の副社長などを務めた経験を持つ人物。そのBさんに鍛えられた息子さんは、2年後に社長を引き継ぎました。

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経営者経験がなくても、経営支援で活躍する50代

ここまでに紹介したAさん、Bさんは、前職で役員クラスの経験を持っていましたが、部長クラスの経歴の持ち主であっても、顧問として若手経営者を支援しているケースは珍しくありません。そういう人たちは企業の顧問を務め、「経営塾」のような形でセミナーや寺小屋的な勉強会を主催しているケースもあります。

こうした活動を行うのは、「引退や企業売却などで第一線を退いた経営者」というイメージがあるのではないでしょうか。しかし、彼らは「元・経営者」ではありません。会社員として多くの企業経営者とつながりを持ち、スタートアップから上場企業まで、様々な経営手法の知見や人脈を蓄えてきた人たちです。その引き出しの多さを生かし、経営者を支援しているのです。

最近、私が会って印象に残っているのが、「代表世話人」という企業の代表、杉浦佳浩さん(50代後半)です。

杉浦さんは証券会社、メーカーを経て大手損害保険会社に20数年勤務。営業職、マネジメント職を経験し、スタートアップや上場会社への投資活動、子会社・ベンチャーキャピタルとの協業も経験したそうです。また、社外での人間関係を大切にし、「人と人をつなげる」活動にも注力してきたといいます。

50歳のとき、病に倒れて入院したのを機に、起業を決意。「世話人業」を手がける「代表世話人株式会社」を設立しました。

現在は、大手からスタートアップまで日本全国の多種多様な企業、数十社とつながり、経営者同士のネットワーク作りを支援しています。そのほかにも、杉浦さん独自の視点でケミストリー(化学反応)が起こりそうな経営者同士を引き合わせるなどの活動をしています。

50代から「頼られる人材」となるために身につけるべきこと

今回お話ししたようなポジション・役割で活躍しているミドル・シニアの皆さんには、次のような共通点が見られます。

・多くの経営者との接点を持ち、ネットワークを築いている

・「肩書」で仕事をするのではなく、実務能力を磨いている

・過去の経験・事象について、因果関係を分析・整理・理解しており、目の前の課題に当てはめて再現できる

・自身の過去の経験を伝えるだけでなく、最新のビジネストレンドを常にインプットしている

・所属する組織に閉じたネットワークではなく、積極的に社外活動にも取り組まれている

(副業やボランティア活動など「サードプレイス」を持っている)

・年下に対しても上から目線で接することなく、謙虚な姿勢

・若い力を信じ、尊重する

・心理的安全性(組織内において、自身の考え・感情を安心して発信できる状態)のある関係や環境をつくれる

・包容力がある一方、厳しく進言するなど突き放すべきときは突き放し、ほどよい距離感を保てる

実際、このようなミドル・シニア世代の人がサポーター、メンターとしてそばについている若手経営者は、会社の盤石な基盤やエンゲージメントの組織文化を築きながらしっかり成長していると感じます。

最近は企業と顧問・社外取締役人材をマッチングする企業も増えていて、このようなセカンドキャリアへ踏み出しやすくなっていると思います。今後、「若手経営者の支援」というセカンドキャリアを選択肢に入れるならば、上記に挙げたような意識・行動を心がけ、身につけてはいかがでしょうか。特に大手企業に勤務している場合は、「肩書で仕事をするのではなく、実務能力を磨く」チャンスを意識的につかみに行ってほしいと思います。

一方で、大手企業の出身者が転職活動で苦戦する傾向も見られます。例えば、組織ぐるみで大きなプロジェクトを推進するような大手商社では、個人のブランドが立ちにくい。そのため、大手商社の看板がはずれたとき、勝負できる強みを見つけられずに苦労するケースが多いのです。

同じ大手企業出身でも、大規模組織の中間管理職のポジションに長くいた人よりも、子会社や提携先・支援先のベンチャー企業などに出向するなどして、ハンズオンで取り組んだ経験を持つ人のほうがセカンドキャリアの選択肢が広いと感じます。そのような経験を積める異動・出向、そして副業などのチャンスがあれば、ぜひ活用することをお勧めします。

森本千賀子

morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊『マンガでわかる 成功する転職』(池田書店)、『トップコンサルタントが教える 無敵の転職』(新星出版社)ほか、著書多数。

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