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出典:NIKKEI STYLE キャリア 次世代リーダーの転職学

個人も問われる「パーパス」 リーダー層の転職を左右

経営者JP社長 井上和幸

リーダー層には個人レベルのパーパスが必須になってきた(写真はイメージ) =PIXTA

企業がみずからの社会的な存在意義を示す「パーパス」に注目が集まっています。今や企業のパーパスのみならず、個人のパーパスも問われるようになっています。そして、パーパスはリーダー層の転職活動の成否においても、非常に重要なポイントとなっているのです。

「ミッション」や「ビジョン」とは何か違うのか?

自社の方向性や位置付けをしっかりと定義している企業には、「ミッション」や「ビジョン」(ほかにも「バリュー」「ウェイ」など)が定められています。これらと「パーパス」は何が違うのでしょう。

「ミッション」は「企業の使命」を定義し、「ビジョン」は「企業の将来像」を定義しています(「バリュー」は「企業の価値基準」を、「ウェイ」は「企業の行動指針」を定めています)。

もちろん、これらは定義が完全に統一されたものではなく、企業によってはミッションにビジョン的なことが書かれていたり、逆のパターンもよく見受けます。あるいはどちらなのか、よく分からないものも。何が正しいのかを言い出すときりがないので、この場では私が最も正確だととらえている上記の定義で話を進めます。

対する「パーパス」は、冒頭にも述べた通り、「企業の存在意義・存在価値」を定めたものとされています。意味するところの実態としては、ミッションとパーパスは重なるところが多くあり、実際にパーパスを紹介する記事で事例に出されているものの中には、その会社においてはミッションとして定義されているものであることもあるようです。

これをあえて分けてとらえてみるならば、ミッション(=「社会や市場に対して働きかけるものが何か」)と、パーパス(=「その企業自体が何者なのか」)となるかと思います。ミッションは外に向かうベクトル、パーパスは内を見つめるものともいえるでしょうか。

昭和から平成をへて令和に至る過程で、経済的な目的(収益を上げたい)だけでなく、社会的な役割を果たすことや環境への配慮が企業活動においても重要であるという認識がグローバルレベルで広がりました。持続可能な世界の実現への企業各社のコミットメント、ESG(環境・社会・企業統治)、SDGs(持続可能な開発目標)重視のムーブメントとパーパスへの注目度が上がってきたことは、強い相関関係があります。

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企業のパーパスがもたらす効用

パーパスがその企業の存在意義・存在価値を定義するものであるがゆえに、人材採用や人材活用においても非常に重要な連関性を持ちます。「我が社は何のために存在するのか。そこで働く人たちは、なぜそこで働くのか」。これを明確に問うのがパーパスです。

パーパスというワードを使っているか否かは別にしても、昨今、成長力のある事業を展開している企業、優れたサービス、魅力の豊かな商品を提供している企業での採用において、「当社の大切にしていることに共鳴いただける方」という採用条件はほぼ必須と言っても過言ではありません。

実際、パーパスに導かれるように動く「パーパスドリブン」型の企業は、戦略が明確であり、何を、なぜ提供するのかの意志がはっきりとしています。それが従業員の意欲をかきたてています。そして、そのこと自体が適材を引き寄せるのです。

私たちエグゼクティブサーチに携わるコンサルタントとしても、パーパスが明確なクライアント企業については、その企業の目指すところ、成し遂げようと目指していることをぜひ達成してほしいと思います。それは、採用候補者の人たちにも無意識的にも強く伝わるものです。そうしたことがよい人材を引き付けることにつながっていて、結果として企業の採用力にプラスの影響を及ぼしています。

人材が流動化している時代に、企業が従業員を集め、自社に留め続ける源泉は、報酬や制度的な強制ではもはやあり得ず、「いつ辞めてもよい。出入り自由。その上で、私はこの会社にいたい」という求心力しかあり得ません。それがパーパスとして定義、表現されているものになるのです。

さて、あなたが今、検討している転職応募先企業のパーパスは、どのようなものでしょう。そこにあなたは引き付けられていますか。

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リーダー自身の「個人のパーパス」が問われる時代に

企業のパーパスが重要視されるようになっているということは、企業に所属する皆さんにとって、そして転職を考えている皆さんにとって、写し鏡のように、それぞれの「個人パーパス」も強く問われるようになっているということにお気づきでしょうか。

特にリーダークラスにとって「あなたは、何を、なぜ、やりたいのか」が明確であるか否かは、影響力を発揮して組織を率いるためのOS(基本ソフト)となっています。

組織を預かるリーダーの皆さんは、どのような企業・組織のリーダーとなっても、社内外での様々な困難やトラブルに見舞われ続ける日々となるわけです。メディアでトップクラスのブランド企業、あるいは働きがいある会社だと取り上げられている企業であっても、社内での労務問題や顧客とのトラブル、業務パートナーとのいざこざなどが皆無という企業はありません。これはあまたの企業を内側から見続け、所属しているキーパーソンのキャリア相談を長く受けてきた我々が知る絶対的事実です。

現場のいざこざ、取引先とのあれやこれやに「勘弁してくれよ」と思う瞬間がつどつど襲ってくるのが、上に立つ者の宿命。それでも経営者やリーダーが踏ん張り続けられるのは、「でも、この事業を絶対に成功させたいから」「このような世界を当社を通じて実現したいから」という、企業のパーパスへの共鳴と、「これを成功させた自分でありたい」「これをライフワークとして実現したい」という個人のパーパスがあるからです。

いわゆる「GRIT(グリット、=やり抜く力)」は、明確な個人のパーパスと所属企業のパーパスへの心からの共鳴からわき出る力なのだと思います。何かの困難に直面したときに、すぐにそこから逃げ出してしまうリーダーには、企業と個人のパーパスが残念ながら不足していたのだと言わざるを得ません。

さて、あなたの個人としてのパーパスはどのようなものでしょうか。今、転職を考えているあなたのパーパスと、転職応募先企業のパーパスは重なり合うでしょうか。ここをしっかり見ることが、本質的な転職成功の鍵となることを、ここまでお読みいただいた皆さんには理解してもらえるでしょう。

ミドルやシニア世代で、特に1社経験で歩んできている人には、ここが明確でない人が多くいます。このようなことを、そもそも考える機会もなかったし、考えたこともないという人が少なくありません。

それに対して、生まれたときからデジタルネーティブ環境で育ち、様々な経済危機や自然災害を目の当たりにしながら、「持続可能な社会とは」という問いの中で生きてきたミレニアル世代、Z世代の企業選択や上司評価の軸は、まさに「パーパスがあるか否かが基準」となっています。パーパスの欠如はリーダーシップ・影響力を損なう根本要因となり、パーパスレスなリーダーは上司としての存在すらも問われかねないのです。

個人が企業の存在意義を問い、同時に自身の存在意義を問い、一人ひとりがパーパスを言語化・意識化する社会となりつつあります。リーダーが企業と個人のパーパスをしっかり問い、その上で働く場を選択し、そこでパーパスドリブンに働くことが皆さんのこれからの活躍に直結するのです。

井上和幸

 経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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